武道館が31棟建つ巨額ムダ事業――公立中学を舞台にした文科省のハコモノ行政の闇

武道必修化が決まっても同じ土俵に乗っただけ、特別待遇されるのは間違い

 そもそも、中学1・2年生で武道が必修化された(3年生は武道と球技から選択)といっても、今までの「陸上、水泳、器械運動、球技」の4つの必修単元に、選択科目であった「武道とダンス」を必修に格上げさせて、6つの必修単元として横並びにしただけです。これは文科省が保健体育科の授業では発達段階に応じた指導を行うという方針のもと、中学1・2年生を「多くの領域の学習を経験する時期」と定めたことによるものです。ですから武道は陸上や水泳などと共に「必修の同じ土俵に乗っただけ」であり、本来は何ら特権的な地位を与えられたものではないのです。  にもかかわらず、武道界には武道必修化によって「中学校への武道場の整備促進」や「中学校教員への大学武道学科学生の新卒採用」などの特別待遇が当然取り計らわれるべきものと思い込んでいる関係者が非常に多いのです。  次回は武道必修化の教育の費用対効果がいかに悪いかについて検証します <取材・文/磯部晃人(フジテレビ) 写真/Tony Tseng> 【中学校武道必修化の是非を問う 連載第4回】
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