仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

仮想通貨イメージ

Anesthesia / PIXTA(ピクスタ)

HDDマイニング需要の急増で大容量HDDが品薄

 マイニング需要のせいで、HDDが品薄になっている(AKIBA PC Hotline!)。仮想通貨「Chia」の人気の高まりを受けてのものだ。  Bitcoin に代表される仮想通貨の多くは、時間の掛かる計算をおこなうと、お金が儲けられる仕組みを有している。仮想通貨の台帳チェックに計算時間を割いた者が、報酬を受け取れるという仕組みだ。その計算には、莫大な電力を消費する必要がある。こうした計算による仕組みは、Proof of Work(PoW)と呼ばれている。  Bitcoin が消費する電力は、全世界の消費電力の0.49%になると言われている(GIGAZINE)。仮想通貨のこの仕組みは、地球環境にとって優しくないテクノロジーとして、ビル・ゲイツも批判している(Technology Elevation)。  仮想通貨 Chia は、こうした問題に対処する仮想通貨として登場した。

仮想通貨 Chia

 仮想通貨 Chia は、新興の仮想通貨だ。開発者はブラム・コーエン氏だ。彼は、2001年に BitTorrent(ビットトレント)と呼ばれる、Peer to Peer を用いたファイル転送用プロトコルやソフトを開発した。コーエン氏は、2017年に BitTorrent の日常業務から退き、Chia を立ち上げた(WIRED.jpTechCrunch Japan)。  コーエン氏は、Bitcoin よりも地球に優しく、もっと銀行に受け入れられる代用品に Chia をしたいと考えている。Chia では、マイニング(採掘)の代わりにファーミング(耕作)という言葉を使う。「採掘」よりも環境に優しい「耕作」というわけだ。この Chia の仮想通貨の仕組みは、 Proof of Work ではなく、Proofs of Space and Time と呼ぶ。  Chia では、ストレージ上の未使用スペースを利用して、PoW に代わる作業をおこなう。Chia では、ストレージの未使用部分に特殊なデータを保存しておき、検証が必要な時に、保存したデータの中から最も近い値がある場所を探す。その検証は、それなりの時間が掛かる。そして、電力消費は Bitcoin などよりも低い(Chia Network)。  2021年の3月17日に、この Chia の1.0が正式にリリースされた(Chia Network)。先述のHDDの品薄は、この流れを受けて、出てきたものだ。
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仮想通貨の影響でグラフィックボードも品薄に!
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