武道館が31棟建つ巨額ムダ事業――公立中学を舞台にした文科省のハコモノ行政の闇

必修開始前も武道選択85%、男子の履修状況には大きな変化はない

 武道授業は必修化が決まってから急に行われるようになったと勘違いしている人が多いですが、必修化開始以前にも選択科目として約85%の中学校で行われていました(全国455校のサンプル調査による=北村尚浩ほか,鹿屋体育大学,2010年3月)。選択科目時代は体育館で畳の上げ下げをして授業を行っていたのに、必修科目になったら急に「武道場を作れ!」と騒ぎ出すのは変ではありませんか?  2011年度までの学習指導要領の旧課程では、中学1年生は武道かダンスを選択し、2・3年生は武道、ダンス、球技の3つの中から2選択でした。そこで実際にどういう選択が行われていたのかは、探した限りでは明確な統計資料は残されていないようですが、1年生は男子は武道、女子はダンスを選択し、2・3年生は男子は武道と球技、女子はダンスと球技を選ぶという男女別学が典型的なモデルケースであったという話を教育関係者に聞いたことがあります。もしそうであったとするなら、2012年度の武道必修化以降、女子の武道履修者は格段に人数を増やしていることになりますが、男子の武道履修者の人数はそれほど大幅には増えていないことになります。
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武道必修化が決まっても同じ土俵に乗っただけ、特別待遇されるのは間違い
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