武道館が31棟建つ巨額ムダ事業――公立中学を舞台にした文科省のハコモノ行政の闇

柔道

写真/Tony Tseng

武道場整備費に加えて教材費などが必要、総額は2500億円にも 

連載第3回」までをお読みいただいた方には、中学校武道必修化の実態は、最大限で考えると「建設費4500万円の武道場を全国に5300か所新設する」大規模なハコモノ行政であることがご理解いただけたものと思います。つまり武道場整備100%達成時の整備費総額は、「4500万円×5300か所=2385億円」ということになります。  しかし、武道必修化には武道場整備費以外にも多額の経費が必要であり、それらを全て合算すると、新国立競技場建設費旧案の2520億円並みになるのです。  具体的に説明しましょう。武道の授業の実施には、柔道衣、剣道防具、柔道畳などの用具も必要です。この内、柔道衣は3000円前後と比較的安価なので、生徒の個人負担がほとんどのようです(学校が用意するケースもある)。剣道防具は一式5万円、柔道畳は1枚3万円前後と高額なため学校の費用で賄われます。これらの費用は文部科学省の管轄する武道場整備費には含まれず、総務省の手当てする地方交付税の中から教材費として措置されます。  地方交付税は、何に使うのかは地方の裁量に任されており、用途を限定しない渡し切り金です。そのため文科省は地方が教材として何をいくら購入したのかについては把握していません。  では、教材費として措置される武道用具の購入金額は全く分からないのでしょうか? そんなことはありません。おおよその見当はつきます。
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剣道防具と柔道畳の費用総額を解明
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