武道館が31棟建つ巨額ムダ事業――公立中学を舞台にした文科省のハコモノ行政の闇

授業だから文科省が負担せよは安直、工夫して既存施設の有効活用を

 武道関係者の多くは「学校に授業用の実験室や工作室、調理室があるように、武道の授業がある以上、武道場を建てるのは当たり前。これは武道界の問題ではなく、文科省の責任」と思っているのかもしれませんが、武道場は校舎内の教室に設置するわけにはいきませんので、別の広い場所に建てなければならず、費用の桁が違います。  今世紀は学校体育から社会体育へと体育教育の場は広がりつつあります。社会体育では費用を掛けずに既存の公共施設を有効活用することが当たり前と考えられているのに、何で学校体育においてはこのような巨額費用を武道場整備のために注ぎ込まなければならないのでしょうか。  体育館に畳を敷くのは確かに面倒で時間の無駄という考えもあるでしょう。でもそれは工夫できます。例えば武道の授業は午後の時間帯に集中的に編成して、昼休み終了10分前から有志を集めて一気に畳を敷いて、放課後の部活動の前に全員で一気に外すとか何らかの方策が考えられます。授業を午前集中編成として朝始業前に畳を敷いて、昼休みに外すのでも良いでしょう。このような共同作業にも教育的な意義があるのではないでしょうか。
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必修開始前も武道選択85%、男子の履修状況には大きな変化はない
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