イージス・アショア、弘前配備案が浮上!? 本当に日本防衛のため配備するならばどこが最適?

ついに動いた情勢

 本シリーズ連載中の去る12/11に、秋田市新屋演習場へのイージス・アショア配備を政府が断念する見通しと報じられました*。この報道を政府は否定していますが、今が大きな転機であることは明らかです。これは、この一年あまりの間続けられた秋田市民の努力の賜(たまもの)と言えるでしょう。 〈*イージスの新屋配備計画、政府が見直しへ 地元理解が困難, 2019/12/11,秋田魁新報〉  伝えられる報道では、新たな配備先としては山形県鶴岡市を南限に、山形県北部、秋田県全域、青森県西部が挙げられており、中でも陸上自衛隊弘前演習場が名を挙げられています*。 〈*地上イージス、新たな候補地は… 住宅地からの距離焦点, 2019/12/11, 秋田魁新報〉  これら報じられた候補地の特徴は、本連載で常に指摘してきたように本土防空、とくに首都圏防空にきわめて不適な立地であり、合衆国のハワイ防空に最適な立地であることです。  これらは、日本本土防空には劣悪な立地であり、とくに弘前は関東防空に全く役に立たない最悪の立地です。それらに共通することはハワイ防空に好適な立地であり、とくに弘前はハワイ防空に最適且つ専用の立地であることです。これらについては、本シリーズ第9回ほかでも触れきました。また年明けに、本連載でもより詳しく解説する予定です。
東倉里射場からオアフ島までの弾道

東倉里射場からオアフ島までの弾道(再掲)
青森県西部、秋田県全域、山形県北部が迎撃好適地となる
ウェブ地図で大圏航路を表示する (Leaflet版)沼津高専による

東倉里射場からオアフ島までの弾道 日本上空の拡大

東倉里射場からオアフ島までの弾道 日本上空の拡大(再掲)
陸上自衛隊弘前演習場の直上を通過する
ウェブ地図で大圏航路を表示する (Leaflet版)沼津高専による

敢えてイージス・アショアを配備するとしたら

 ここで敢えてイージス・アショアを配備するとすればどこになるでしょうか? 考えてみましょう。  北朝鮮の東岸、西岸どちらからも東京を中心とした東日本、大阪を中心とした西日本を弾道弾で狙った場合、概ね2カ所の迎撃射点で対応できます。なおカタログスペック上は、能登半島の1カ所で事が足ります。兵器カタログ大好きっ子で兵器カタログ至上主義の人々が、このことに言及しないのは不思議です。元々このような人々は、佐渡分屯地に配備されると快哉を叫んでいたのですが、萩、秋田配備と報じられて以降、ピタリと佐渡と言わなくなりました。見事な翼賛ブリッコです。なお、佐渡の場合、中京および東海地区の防空には不向きです。
東倉里射場から東京までの弾道

東倉里射場から東京までの弾道
福井県と能登半島が迎撃好適位置となる。新潟、仙台を有効な防空域に含めるならば能登半島が望ましい。
ウェブ地図で大圏航路を表示する (Leaflet版)沼津高専による

 図に示すように、関東防空のためには、能登半島から福井県の範囲に配備すればよく、とくに空自の拠点がある能登半島先端部に配備すれば東北地方の南部から静岡、東海地方を迎撃好適範囲に含めると思われます。  次の図に示すように、関西の場合は隠岐諸島か丹後半島に配備すれば中京地区から関西、岡山県までは迎撃好適位置を占位できますが、九州と山口県は迎撃が難しくなると思われます。
元山から大阪までの弾道

元山から大阪までの弾道
関西と中京地域防空には丹後半島か隠岐諸島への配備が望ましい。
但し、KN-23改良型SRBMの射程に入り、無意味となる可能性がある
ウェブ地図で大圏航路を表示する (Leaflet版)沼津高専による

 但し、両地点共にSRBMの射点から1000km以内のために通常弾頭のSRBMによって飽和攻撃を受けて破壊されます。とくに隠岐諸島は、将来KN-23発展型の射程に入る可能性が高いです。  両地点とも迎撃難度が高いハワイ、グァム向けICBMとIRBMの迎撃には使えません。また、地上配備固定基地ですので、先制奇襲攻撃によって通常弾頭によっても完全に破壊できますから全く意味がありません。
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日本本土防衛最適地にもある問題点
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*イージス・アショア関連の過去22回分の記事については以下参照。

"イージス・アショアは「無敵の超兵器」か「大いなる無駄」か?"

"ミサイル防衛の現実を踏まえれば、イージス・アショア導入以前にやるべきことがある"

"日本のMD強化に「THAADを排してイージス・アショア」という選択は正しいのか?"

"米軍迎撃シミュレーションから垣間見える、イージス・アショア日本配備計画の「不自然さ」"|HBOL

"「誰がためのイージス・アショアか?」配備地から導き出される、ある推論"|HBOL"

"秋田と萩へのイージス・アショア配備こそ、日本を逆に窮地に追い込む「平和ボケ」"

"朝鮮半島緊張緩和が進む中、日本の防衛政策はどこに向かうべきか?"

"安倍首相「家から通えるイージス・アショア」答弁の無知と詭弁と恐ろしさ"

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