安倍首相「家から通えるイージス・アショア」答弁の無知と詭弁と恐ろしさ

牧田寛
衆院インターネット中継より

衆院インターネット中継より

「家から通えるイージス・アショア」

 2月12日の通常国会衆院予算会議で、国民民主党所属の泉健太代議士が要約すると次のような質問を行いました。 “イージスアショアは、秋田と萩に固定式である。真っ先に狙われるのではないか。(略)イージス・アショアは2基で2404億円、運用費は4389億円。来年度イージス艦は8隻に増え高額のアショアじゃなく、イージス艦のミサイルを増やせば良いだけである”  これに対し、首相である安倍晋三氏は次のような答弁を行いました。 “陸上に配備されている利点については、先程岩屋大臣から答弁をさせていただいたわけでございます。  いわば、あの、えー、船であればですね、出港して行って、その間はずっと洋上にいるということになってですね。その中でローテーションしていくわけでございますが、陸であればですね、まさに、いわば、陸上においての勤務となるわけでございます。それについては、これは大きな差なんですよ。全然ご存じないかもしれませんがね、あの、いわばずっと外に出ている、えっと、一ヶ月間とか出ているということですね。あのいわば、これは自分の自宅から通えるわけですから、近くに勤務があればですね、それは全然勤務状況としては違うんですよ。そういうことも考えていかなければならないんだろうと、こう思いますよ。  それ実際に皆さんそういう勤務、実際されたことはないからそういうことをおっしゃってるんだろうけど、実際に勤務する人たちのですね、(野次への苦言)そこでですね、まさにそういう中においてはですね、我々は、そういう勤務環境をしっかりとある程度確保してあの向上させていくということも必要ですし、最初に申し上げましたようにですね、いわば、えー、最初の、端緒の段階においてですね、(北朝鮮は)この移動式発射台による実戦的な発射能力を向上させている、あるいは潜水艦発射型SLBMを開発しているということで、発射兆候をですね、早期に把握することはより困難に、より困難になっているということは、かなり決定的なことになるわけでありまして、それは、それはですね、対応していかなければならないということでございます。  で、そして、それはさらに進んでいくということでございましてご承知のようにこのイージス・アショアをですね、この発注してすぐに例えば来月とか、来年にですね、来年にそれを取得できるかといえばそんなことはまったくないわけでございまして、前もってですね、これはいわば発注をしてですねそれまで導入までかなり時間がかかるわけでありますから、そういう意味においてですね、まさに私たちはそういう判断をしたと。こういうことでございました” (*本稿執筆時点で第198回常会予算委員会議事録は第二号までしか公開されていませんので、衆院インターネット中継のアーカイブから書き起こしました) (※記事中のレファレンスや画像、動画については配信先によってはリンクされなくなる場合があるので、その場合はハーバービジネスオンライン本体サイトからご覧ください)

改めて問う。誰がための「イージス・アショア」か

 昨年8月20日から9月26日にかけて、イージス・アショア日本配備についてその欺瞞と無意味さ、そして重大な弊害を7回解説し5ヶ月が経過しました。現在通常国会では、イージス・アショア日本配備について予算承認の面から論戦が行われています。 ※参照【イージス・アショアシリーズ】:1234567  本連載のあと、イージス・アショア日本配備は費用対効果の面で全く無意味なだけでなく、迎撃対象が対ハワイICBM(*1)と対グァムIRBMであり日本国内防衛には無効であること、対合衆国ICBMの早期警戒システムであって、対日弾道弾防衛が目的ではないこと、そのために1兆円の日本市民のお金が浪費されること(*2)、イージス・アショアは最優先の先制核攻撃対象となり、配備地の秋田市、萩市は複数の核弾道弾攻撃に見舞われ、さらに東京都心と立川市も先制核攻撃対象になるであろうことがメディアでも論じられるようになりました。 *1:戦略兵器制限条約(SALT)での定義上のICBMは、「アメリカ合衆国本土の北東国境とソ連本土の北西国境を結ぶ最短距離である5,500km以上」である。このため射程距離上の定義ではICBMを5,500km以上の射程とする場合が一般的である。なお、北朝鮮とハワイの距離は7,500kmである。 *2:同じく在欧州合衆国軍防衛、合衆国本土早期警戒用の欧州展開イージス・アショアは、合衆国の費用で展開され、合衆国が運営する。  摩訶不思議なことになぜか封印されてきたこの常識的議論を封印解除した点で本連載はおおきな意義があったと自負しています。
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