トヨタも導入した「暗闇の研修」ってなんだ!?

暗闇がフラットな関係を生み出す

「心の知能指数」といわれるEQのテストのグラフ。企業によって個性はあるが、わずか数時間の研修でも各尺度の数値が伸びているのがわかる

「コンセプトの根幹は、『ダイアログ』=対話です。視覚情報に頼れない状態では、いつもの行動様式は通用しません。健常者は『アテンド』や他の参加者の助けなしには行動できず、お互いに助け合う必要性もでてきます(その方法も、暗闇に合わせて新たに体得しなければなりません)。つまり、暗闇は価値観や発想の転換を促す非日常的な空間であり、それゆえに従来の人間関係を脱したフラットなコミュニケーションを促進するというわけです」  このため、社内のチームワーク醸成に活用される例が目立つという。 「たとえば、開発部・営業部・広報部といった別々に動いている部署、これらをつなぐために研修をすることがあります。また、部署異動後や合併した企業では古参と新参の社員に溝が生まれがちですが、こうしたメンバーでの研修も多いですね」  もともと、日本ではエンタテインメント・イベントとしてスタートしたそうだが、これが企業研修として効果的ということで評判になり、利用団体が増えていった。 「特に研修の営業マンがいるわけではなく、口コミ的に広がっていったという状態ですね。これまでメディアで見かけた人事部の方からお問い合わせを頂いたり、たまたま、経営者の集まりで体験していただく機会があったのも幸運でした。経営的には『平日昼間の稼働率を上げなければ!』という悩みに直面していたので、非常にタイムリーなシフトでしたね」  現在はエンタテインメント・イベントと企業研修ともに実地しており、いずれも盛況だ。
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暗闇の共同作業で呼び覚まされるイノベーション
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