記者会見に立った、常田佐久さん(JAXA宇宙科学研究所所長、写真右)と、久保田孝さん(JAXA宇宙科学研究所 宇宙科学プログラムディレクタ、写真左)
JAXAでは復旧に向けた努力を続けているが、27日1時21分に短時間ながら電波を受信したのを最後に、28日まで一切の音沙汰がない状態が続いている。通信を受信することができなければ、衛星の状態を詳しく知ることができず、衛星の復旧に向けて何を行えばいいのかという計画も立てられない。まずはともかく、通信を回復させる必要がある。
「ひとみ」をはじめ多くの人工衛星は、何か異常が起きれば、自動的に必要最低限の機器のみを起動させたまま、機体を安全な状態に保ち、地上からの指示を待つモードに入るように造られているが、今回それが機能したかどうかも今の段階ではわかっていない。
また、通信異常の直前に太陽電池の発電量が低くなっていることから、時間が経過するごとに衛星の電力は足らなくなる可能性が高い。衛星には充電池が搭載されているが、その充電量にも限りがある。電力がなければ衛星を動かすことができないため、電力があるうちに復旧させる必要がある。また、機器の中には電源を入れ続けていないと機能が失われるものもあるため、一刻も早い復旧が望まれる。
記者会見で、JAXA宇宙科学研究所の常田佐久(つねた・さく)所長は、「これまで試験観測を続ける中で、大変良好なデータが取れていた。衛星が回復すれば素晴らしいデータが取れると期待している。しかし、このまま通信が回復しなければ、観測は大変厳しいことになる」と述べた。
<取材・文・撮影/鳥嶋真也>
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【参考】
・
JAXA | X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の通信異常について
・
X 線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況について(3月28日版) | ファン!ファン!JAXA!
・
X 線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況について – YouTube
・JSpOC Twitter ”
JSpOC ID’d 2 breakups: SL-12 R/B(33472) @~0145z, 27Mar-21 pieces. ASTRO H(41337) @~0820z, 26Mar-5 pieces. Events not related. @SpaceTrackOrg”
・JSpOC Twitter “
Update: Analysis shows ASTRO H breakup occurred 26Mar @ 0142z +/- 11mins. JSpOC confirmed breakup @ 0820z. @JAXA_en @SpaceTrackOrg“
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。
著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。
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