統一教会フロント組織が仕切る地域イベント、現地取材で見えたもの

同日には親鸞会の偽装セミナーも開催

 開場前に当日の使用団体一覧をチェックしたところ、別棟の第3会議室で「親鸞聖人に学ぶ会」が開かれていた。偽装勧誘などが問題となってきた浄土真宗親鸞会による偽装セミナーだ。第3会議室に行き、何をしているのか訊いてみた。 「親鸞聖人の教えを学ぶということで…」と説明するスタッフ、宗教団体によるものか確認すると「宗教団体ではなくサークル」との回答。筆者は以前、都内で開かれた同名のセミナーを取材したことがあるが、その際も宗教団体であることや親鸞会への勧誘目的を糊塗していた。その手口は今も変わっていないようだ。
親鸞会による正体と目的を隠した偽装セミナーも“同時開催”、信者勧誘員から参加を勧められる

親鸞会による正体と目的を隠した偽装セミナーも“同時開催”、信者勧誘員から参加を勧められる

 親鸞会による偽装セミナーが施設内で開催されていることを会館側に伝えた。この日は問題教団が関わる催しが会館内において同時に開かれていたことになる。

500人が参加したイベントが終了

 第1ホールではミライメーカーによる提言発表の後、他の団体によるよさこい踊りが最終演目として行われ、『ファイト三重!県民まつり』は16時前に閉幕した。  今回、スタッフの多くが統一教会信者であると判明し、実質的に統一教会関係者によって仕切られたイベントだったことが確認できた。  後日、矢田氏に総入場者数を照会したところ、概算で500人との回答。動員された信者以外の一般の入場者数は不明だが、地域住民に何らかの勧誘などの被害が及ばないことを願うのみだ。

市の担当者「最初に応対していないので判らない」

 12月2日、「三重県平和大使協議会事務部長」の名刺を持って矢田氏が補助金申請に行った件について四日市市政策推進課へ尋ねた。担当者は「最初に応対していないので判らないが」と前置きし、前回取材時と同様に「実行委員会を立ち上げていたこと」「事業の内容が一番重要」との回答を繰り返し、イベント当日も会場で宗教の布教活動など市の要綱に反するような内容が含まれていないことを確認しているとした  問題点は現地で布教活動が行われたか否かではなく、地方自治体が実態を調べないまま統一教会フロント組織主導イベントにお墨付きを与えたこと自体にある。

全国各地で同様の事例

 今回のイベントで改めて可視化されたのが議員と教団フロント組織との関係性だ。地方・中央問わず教団やそのフロント組織と関係を持つ政治家が後を絶たない。教団は全国各地で平和大使協議会を前面に立て、政治家との関係を築いている。この手のフロント組織の名義でピースロード、日韓トンネル、及びその他の各種セミナーや会合を公的施設や庁舎内で開き、地方議員や地元の国会議員を取り込んでいる。〈参照:「にょろ」氏ツイッター|@hyoloro*非公開〉  統一教会フロント組織と政治家との結び付き、そして自治体の関与。これは三重県だけで起きている問題ではない。 <取材・文/鈴木エイト(ジャーナリスト)>
すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教カルトと政治というテーマのほかにカルトの2世問題や反ワクチン問題を取材しイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)、『日本を壊した安倍政権』(扶桑社)
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