トランプ信者集団、東トルキスタン独立運動、国民主権の想いを込めて歌うカラオケおじさん。首相官邸前のある1日

トランプ応援団が2時間もの演説

日本のトランプ支持者

なぜ日本の官邸前なのかは謎。メッセージはやけに宗教がかってた

 私は、座り込みを続ける女性に電力供給の支援をしている。アウトドア用のバッテリーを官邸前に届け、空になったバッテリーを持ち帰って充電する。そんなこんなで、ここのところ短時間ではあるが毎日のように官邸前に通っている。  11月12日。午前中にバッテリーを届けに行くと、日の丸や星条旗を官邸前の歩道の角にくくりつけ集会の準備をしている一群がいた。 「前にも来てた連中だよ。トランプ信者。どっかの宗教じゃないの?」(女性の支援者)  2週間おきにここで行われているトランプ大統領応援集会。チラシには「トランプ大統領を支援する会」「日米同盟強化有志連合」「自由と人権を守る日米韓協議会」の3団体の名が記載されていた。  社会科見学なのか、小学生くらいの子どもたちの集団が通りかかった。 「どうしてこんなところで(トランプ支持の集会を)やってるの?」(男の子) 「どうしてだろうね。おじさんもわからない。彼らに聞いてみようか」(私) 「いや、いいです」(男の子)  少し怯えたような表情を残して、男の子は去っていった。  「JAPAN LOVES TRUMP」「不正開票を許さない! STOP STEAL」などのプラカードを掲げた12人の集団は、1人を除き全員女性。日本語がややたどたどしい、アジア系外国人とぼしき人も複数いた。演説が始まった。 「腐りきったマスコミに持ち上げられ、バイデン側は、大統領ごっこを楽しむのも今のうちでしょう。不正選挙の真相を明らかにするため、トランプ大統領は今週から本格的に動き始めています。(略)全てが明らかになれば、(バイデン氏は)神様を騙し、世界を騙した自分の悪事、自分の罪により、地獄に堕ちるのみなのです! 皆さん、本当の闘いはこれからなのです。(略)私達はトランプ大統領の就任以来4年間にわたり現在まで絶え間なくトランプ大統領を支持し続けてきました。私達がトランプ大統領を支持する理由は、トランプ大統領の価値観や揺るぎない信念、また国民のための政策、何よりも中国共産党を中心とした悪なる勢力に対して死を覚悟して戦う本物の指導者だからであります。私達には偽物のリーダーはいりません! 悪を恐れない、悪に立ち向かって命をかけて闘う本物の、真のリーダーが必要です。中国共産党を終焉させることができるリーダーはトランプ大統領しかいません。トランプ大統領、左派勢力に囲まれ、左派メディアによる妨害や攻撃を受けながら、どんなに叩かれても叩かれても、あなたは必ず奇跡的逆転勝利を成すに違いありません。神様があなたを見守り導いてくださるからです!」  数人が順番に演説したが、皆チラシなどの文章を読みながらの演説で、話す内容はだいたい同じ。なぜこれを日本の首相官邸前でやるのかさっぱりわからないが、これが2時間以上続いた。

宗教がかった文言が目立つトランプ応援団

 私は途中で飽きてきたので、演説を聞きながら、差し入れで頂いたチキン南蛮弁当を食べた。官邸前で座り込んでいた女性も、「Black Lives Matter」関連で人気の「This Is America」をかけながらトランプ礼賛集会の目の前で踊っていた。  最後は参加者たちが官邸に向かって「フレー!フレー!菅総理!」などと叫びながら日の丸と星条旗を振り、一礼して集会は終わった。  通行人に配られていたチラシには、こう書かれていた。 〈悪魔の勢力共産主義は、血で血を洗う闘争の歴史を繰り返し、一党独裁を打ち立て、人々を奴隷にしてきました。「天倫、人倫に反する共産主義は、70年ないしは73年を超えることが出来ない」という天理がありますが、そのとおりに、ソ連は崩壊しました。(略)中国共産党と勇猛果敢に戦いを挑んでいるトランプ大統領が、1949年に樹立された中華人民共和国を終焉させる、伸るか反るかの戦いが、昨今の米中戦争です。〉  神とか悪魔とか天理とか、いちいち宗教臭い言い回しが登場する。帰宅後調べてみると、チラシにあった3団体のうち「日米同盟強化有志連合」には、サンクチュアリ協会(統一教会分派=7男派)関係者である小林直太氏と同姓同名の人物が関わっているようだった。また同じくチラシに記載があった「自由と人権を守る日米韓協議会」には、同じくサンクチュアリ協会の会長・江利川安栄氏が関わっている。ちなみに、この江利川氏は統一教会の日本支部に当たる日本統一教会の第7代会長だった人物だ。  この団体や集会がサンクチュアリ協会中心のものなのか、他の保守団体や宗教団体との混成集団なのかはわからない。
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東トルキスタン独立運動をするウイグルの人たち
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