「記者クラブ問題の議論を」フリー記者の問いかけに応えた安倍総理発言を内閣記者会が“黙殺”

7年3か月にわたる安倍政権の会見取材で、初めて指名された畠山氏

首相官邸議事録

首相官邸ウェブサイトに掲載された、4月17日の会見の議事録。長谷川内閣広報官が、畠山氏の質問をさえぎってほかの記者に質問をふったことが記録されている

 歴史的な質問をした畠山氏に5月8日、筆者はインタビュー取材を行った。 ――安倍首相の記者会見で、指名されたのは初めてですか。 畠山:初めてです。私が首相官邸での記者会見に初めて参加したのは、2010年3月26日の鳩山由紀夫首相の記者会見からです。この会見がフリーランスの記者(以下、フリー記者)が初めて参加した首相会見です。  民主党政権下で行われた記者会見では、フリー記者が質問者として指名されることは何度もありました。しかし、2012年12月に第二次安倍政権が発足してから、フリーランスの記者が質問者として指名されることはありませんでした。  第二次安倍政権の首相会見でフリー記者が初めて質問できたのは、2020年3月14日です。指名されたのは、フリーの安積明子記者、IWJの岩上安身記者でした。3月28日、4月7日の記者会見では、フリーの江川紹子記者が指名されました。  3月14日以降、フリー記者が指名されるようになっています。これは2月29日の記者会見の最後に、江川紹子記者が「まだ質問があります」と声を上げ、それを打ち切る形で会見が終了したことに批判が集まったことがきっかけだったと私は考えています。

会見に参加させてもらえないジャーナリストからの質問をぶつけた

会見イメージ4――記者クラブ問題について質問するということは、前から決めていましたか。 畠山:4月17日の会見前夜、ジャーナリストの寺澤有さんに「明日、首相会見がある。寺澤さんは申し込まないのか」とフェイスブックのメッセンジャーで話をしていました。寺澤さんが首相会見への参加を官邸側から拒否されていることを知っていたからです。  その際、記者会見での質問内容が話題に上りました。私は新型コロナウイルスの感染が拡大する中で行われる選挙や布マスクについて質問するつもりでしたが、寺澤さんから「記者クラブをどう思うか質問してよ」と提案がありました。 「コロナのことは他の記者が聞くはず。畠山さんがコロナのことを質問しても面白くない。記者クラブのことは畠山さんしか聞けない」と言われました。  寺澤さんは民主党政権時代から官邸記者会見への参加を申し込んでいますが、拒否されています。一方、私はなんとか参加することができています。参加できるのであれば、参加できない寺澤さんからの質問をぶつけることには意味があると考えました。  なお、寺澤さんが参加できない件については、菅直人首相時代の記者会見(2010年6月8日)で私が菅首相に質問しています。この質問中で私が「断られたフリージャーナリストの一人」と言っているのは寺澤さんのことです。  官邸会見は「1人1問」が原則とされています。4月17日の記者会見のときも、会見冒頭に司会進行役の長谷川内閣広報官から釘を差されていました。そのため「選挙の質問」をしたところで「1問」とカウントされて広報官に質問を切られてしまわないように、まるで関連質問であるかのように記者クラブについての質問を続けました。
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メディアよ、「広報機関」に成り下がるなかれ
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