秋田配備のイージス・アショアが戦術核攻撃を受けたとしたら。シミュレーションを見てもなお、配備を進めるのか?

最初の3秒間で甚大な被害

 ここまで、新屋演習場直上800mで50ktの核が起爆した後3秒間について論じました。  最初の百万分の一秒で、中性子線とγ線による直接被曝によって半径1000m圏内の人々は半数以上が亡くなります。そして1500m圏内の人も緊急医療を必要とする大きな打撃を受けます。  次の3秒間で、半径2000m圏内では、多くの人が致命的熱傷を受けて絶命します。半径3000m圏内でも直ちに救命医療を受けなければ命を落とす深刻な火傷を負います。半径4000m圏内では屋外の人は何らかの熱傷を負うこととなります。  半径2000m圏内では、あらゆる可燃物が発火し、半径3000m圏内でも無数の火災が発生します。火災の発生は3500m圏内まで見られ、現代の組織的消防が無事であっても対処できる規模を遙かに超えます。  ここまでの被害だけでも数万人が一挙に亡くなるものですが、次の起爆後1秒以降、衝撃波が爆心から超音速で同心円状に広がり、爆風被害としてよく知られる現象が生じます。  次回は、この衝撃波による被害を論じ、その次にFirestorm(空襲火災*)について論じます。 〈**日本語には適切な訳語が無い。本来は、「火事嵐」や「核大火」と訳すべきだろう〉 『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』ミサイル防衛とイージス・アショア20 ※なお、本記事は配信先によっては参照先のリンクが機能しない場合もございますので、その場合はHBOL本体サイトにて御覧ください。 <取材・文・図版/牧田寛>
Twitter ID:@BB45_Colorado まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中
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*イージス・アショア関連の過去19回分の記事については以下参照。

"イージス・アショアは「無敵の超兵器」か「大いなる無駄」か?"

"ミサイル防衛の現実を踏まえれば、イージス・アショア導入以前にやるべきことがある"

"日本のMD強化に「THAADを排してイージス・アショア」という選択は正しいのか?"

"米軍迎撃シミュレーションから垣間見える、イージス・アショア日本配備計画の「不自然さ」"|HBOL

"「誰がためのイージス・アショアか?」配備地から導き出される、ある推論"|HBOL"

"秋田と萩へのイージス・アショア配備こそ、日本を逆に窮地に追い込む「平和ボケ」"

"朝鮮半島緊張緩和が進む中、日本の防衛政策はどこに向かうべきか?"

"安倍首相「家から通えるイージス・アショア」答弁の無知と詭弁と恐ろしさ"

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