「日本による配備」だからこそ高まるリスク。「もし先制奇襲核攻撃を受けたら」を考える

核爆発の都市への影響を知るための参考資料

 核爆発による都市への影響は古くから数多く研究されていますが、代表的なものは、1977年に発表された『The Effects of Nuclear Weapons(核爆発の効果)』*です。この報告書は、様々な報告書、論文、作品において基礎的原典資料とされています。近年では、2013年外務省委託研究「核兵器使用の多方面における影響に関する調査研究」**が邦文で公開されています。  それぞれ、閲覧、視聴が可能です。 〈*『The Effects of Nuclear Weapons(核爆発の効果)』 UNITED STATES DEPARTMENT OF DEFENSE and the ENERGY RESEARCH AND DEVELOPMENT ADMINISTRATION, 1977〉 〈**平成25年度外務省委託「核兵器使用の多方面における影響に関する調査研究」 朝長万左男ほか2013年度外務省委託研究〉  映像資料としては、様々な核実験の映像が機密解除されていますが、一般向けでは次の三作品がきわめて優れています。 ◆NHK特集 世界の科学者は予見する・核戦争後の地球, 1984 第一部 地球炎上 第二部 地球凍結 ◆NHKスペシャル 原爆投下 10秒の衝撃, 1998  また、基礎的映像資料としては合衆国で1979年に公開されたプロパガンダTV映画、『First Strike 』(1979_film) がお勧めです。これは、NHKでも前半部分が放送されていますが、後半部分のインタビュー編は日本未公開です。
firststrike

First Strike, Produced by U.S. Air Force, Released by NBC, 1979
80年代核軍拡とSDI構想の原点となり、現在における弾道弾防衛の原点でもあるドグマ(教義)に基づいたプロパガンダ映画であり、極めて高い資料価値を持つ

 それでは、次回はこれらの資料を元に、秋田配備イージス・アショアが先制奇襲核攻撃を受けたときに秋田市民が体験するであろうことをシミュレートしてみたいと思います。一言で言えば「エグい」描写が淡々となされることになります。筆者自身が酷いものだと感じますが、かつて核抑止力を論じる上では必ずなされてきたことです。想定しうる最悪の事態が現実になった場合に何が起こるかを考える一助として敢えて執筆します。 『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』ミサイル防衛とイージス・アショア19 <取材・文/牧田寛>
Twitter ID:@BB45_Colorado まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中
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*イージス・アショア関連の過去18回分の記事については以下参照。

"イージス・アショアは「無敵の超兵器」か「大いなる無駄」か?"

"ミサイル防衛の現実を踏まえれば、イージス・アショア導入以前にやるべきことがある"

"日本のMD強化に「THAADを排してイージス・アショア」という選択は正しいのか?"

"米軍迎撃シミュレーションから垣間見える、イージス・アショア日本配備計画の「不自然さ」"|HBOL

"「誰がためのイージス・アショアか?」配備地から導き出される、ある推論"|HBOL"

"秋田と萩へのイージス・アショア配備こそ、日本を逆に窮地に追い込む「平和ボケ」"

"朝鮮半島緊張緩和が進む中、日本の防衛政策はどこに向かうべきか?"

"安倍首相「家から通えるイージス・アショア」答弁の無知と詭弁と恐ろしさ"

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