「地球に似た7つの惑星を発見」――NASAの発表を正しく理解するために大切なこと

太陽系とトラピスト1系のハビタブル・ゾーン

太陽系とトラピスト1系のハビタブル・ゾーン(濃い緑色の領域) Image Credit: NASA/JPL

「地球に似た惑星」という言葉の曖昧さ

 また、今回見つかった惑星がハビタブル・ゾーンにあり、さらに地球に近い大きさ、質量で、さらに地球型惑星という名前だからといって、「地球に似た惑星」や「地球の妹」などと呼ぶのも、少し誤解を生む表現かもしれない。  というのも、トラピスト1は「赤色矮星」と呼ばれる、太陽の0.08倍、木星ほどの大きさしかない小さな恒星で、表面温度は低く、その分恒星が出すエネルギーも少ない。そのため必然的にハビタブル・ゾーンも恒星に近いところに存在し、今回見つかった7つの惑星も、すべてトラピスト1にとても近いところを回っており、7つの惑星の1年(公転周期)は、地球時間でいえばわずか数日~十数日にすぎない。ちなみに太陽系に置き換えると、水星よりさらに内側に、7つすべてが収まるほどである。  これほど恒星に近いと、それだけ生命にとって有害な放射線などが飛んでくる量も多い。また、公転と自転周期と同期している可能性もあり、つまり惑星のある面が常にトラピスト1のほうを向いて、日が当たり続ける昼の状態にあり、その反対側の面は逆に、常に夜の状態にあるような、過酷な環境になっているかもしれない。  そのため、地球に似た大きさ、質量をもち、そしてハビタブル・ゾーン内にあるとは言っても、その環境は地球とは大きく異なっており、ましてや宇宙人なり何らかの生命なりが存在することを裏付けるものでもない。  もっとも、たとえば昼と夜の境目のような場所は住みやすい環境にあるかもしれないし、そもそもこうした違いが生命の誕生にあまり影響を及ぼさない可能性もある。あるいはその環境に適応した、地球にはいないような生命がいる可能性もなくはない。
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今回の発見は何が重要なのか
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