タイからのJリーガー排出に尽力してきたJリーグ国際部の小山恵氏は、タイ人Jリーガーの誕生が難航した理由を次のように語る。
「Jリーグとしても、もともとタイは一番のターゲットとして見ていました。ただ、タイリーグは近年、トップ選手のサラリーがどんどん高くなっている状況があり、一方で日本でのタイ人選手の評価はまだそこまで高くない、というギャップがありました。チャナティップも2012年頃からリストアップしていた選手ですが、彼のサラリーも当時とは比べものにならないほど高額になっています」
国内リーグの急速な発展により、現在、タイではトップクラスの選手であれば数千万円の年俸も珍しくない。選手としての評価も金銭的な待遇も低調な海外のリーグに、わざわざリスクを犯してまで飛び込む必要のない環境がすでに国内に整ってしまっているわけだ。他の東南アジア諸国に先駆けたタイリーグの飛躍が、逆にタイ人Jリーガーの誕生を難しくさせている面があった。