「復興・防災型」出店に東北大キャンパス取得に……。杜の都・仙台で進む「商業のイオン化」

「復興・防災型イオン」による地域復興

 ここまで紹介したように、仙台市内の郊外~近郊地域では、地域の再開発計画に合わせ、東北地方の地域特性ともいうべき「震災復興需要」を取り込むかたちでイオングループによる大型開発計画が続々と持ち上がっている。  実は、このような震災復興需要や、それに伴う再開発に合わせた「復興・防災型イオン」ともいうべき店舗の新規出店は、仙台市のみに留まらず、岩手県釜石市、岩手県陸前高田市、福島県いわき市、福島県広野町など、津波被害が大きかった東北沿岸部各地で行われている。こういった被災地域の復興に伴う新規出店は、東北地方におけるイオングループの成長の要にもなっており、震災被災地において、イオンを軸とした大型民間資本を投入するかたちでの地域再建・防災拠点整備は「1つのトレンド」であるとも言える。

福島県いわき市の沿岸部に2017年の開業を目指して建設中の「イオンモールいわき小名浜」。同市ウェブサイトによると、地域の防災拠点としての機能も備えているという。(いわき市ウェブサイトの完成予想図より引用)

 しかし、東北随一の大都市である仙台市の「商業のイオン化」は、他の東北諸地域と同様の「震災復興重要の取り込み」や「郊外~近郊地域での大型再開発」のみには留まっていない。  そこで、次回からは、激しい競争に晒されている仙台市内において、大型店と中小店舗を上手く使い分ける形でライバル店と徹底抗戦を行うというイオングループの経営戦略を見ていく。 都市商業研究所 若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」 ※都商研ニュースでは、今回の記事のほかにも下記のような記事を掲載中 ・JR尾道駅、建替へ。築125年の木造駅舎イオン「ウエルマート」全店舗、マックスバリュへの転換完了銀座ソニービル、2017年3月閉館-2022年の建替え目指す
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