「復興・防災型」出店に東北大キャンパス取得に……。杜の都・仙台で進む「商業のイオン化」

マンションラッシュ続く仙台南部副都心への出店

卸町駅近くのイオン建設計画地(若林区卸町一丁目)

 仙台市内では、先述の卸町地区のほかにも2つのイオンの大型店計画がある。  そのうちの1つが、仙台市南部の副都心である太白区長町地区への出店計画だ。  長町地区は仙台駅から4キロほど南に位置しており、1999年に廃止されたJR長町機関区跡の再開発地区「あすと長町」を中心に、近年急速な発展を遂げている地域である。  この「あすと長町」には、2016年現在、民設共営の多目的体育館「ゼビオアリーナ仙台」、ライブハウス「仙台PIT」といった文化施設から、家具店「IKEA」やセブンアイ系のショッピングセンター「ヨークタウン」などの商業施設、仙台市立病院やメディカルプラザなどといった医療施設に加え、先述の卸町駅前と同様に大型の震災復興公営住宅も立地しており、今後は地元放送局「東日本放送」の移転が計画されるなど、開発から僅か10数年で副都心としての都市機能の集積が急速に進んでいる。

副都心・長町にイオンタウンが取得済みの土地(太白区あすと長町12・17街区)。周囲はマンション建設が進んでいるほか大手家具店「IKEA」も出店

 イオングループはこの発展著しい地区においても長町駅近くの土地を取得、近隣型の大型ショッピングセンター「イオンタウン」の出店を計画している。  現在、あすと長町地区には大型マンション3棟(シティタワー長町新都心、プレシスあすと長町エクレール、ワンパークレジデンシャルタワーズ)が建設中で、その総戸数はおよそ900戸にも上り、完成後は急激な人口増加が見込まれている。  近年は津波被害の影響があった沿岸部から開発が進む内陸部の長町地区へ住み替える人も多く、商業需要の受け皿となる大型店の必要性が高まっており、イオンタウンはマンションディベロッパーや、震災復興住宅居住者も含めた新住民からの期待を背負っての出店となる。
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前代未聞? 国立大キャンパスをイオンが取得
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