年10日の柔道授業では乱取りは無理というのが共通認識
柔道の受け身の習得に要する日数は「1~2週間で十分」とする人もいますが、「2~3か月は必要」とする人もおり、明確に定義付けられていません。しかし、柔道事故の法律の判例では短期間の受け身の稽古では不十分として指導者の過失責任が問われるケースがあり、年10時間程度(平均9.8時間=月刊武道 2015年12月号)の柔道授業では乱取りをするのは非常に難しい状況です。柔道界に精通したある医師も、柔道授業での乱取りの実施には否定的です。教育者としての経験豊富なある柔道界の識者も同様の意見を述べていました。このように、柔道授業では乱取りはほぼ行えず、受け身が不十分である以上、危険性のある技の練習も当然制限されます。
教育の費用対効果について武道必修化も調査の俎上に載せるべき
近年では、教育の費用対効果についても盛んに論じられるようになりました。「教育にエビデンスのある政策を!」という声が挙がっており、費用便益分析、重要業績評価指標(KPI)や教育経済学などの様々な視点で、多くの学者や教育関係者が持論を展開しています。
東京都初の民間出身者として公立中学校の校長を務めた藤原和博さんは民間企業のコスト意識を義務教育に持ち込んだことで有名ですが、面白いと思ったのは、藤原さんが義務教育の授業1コマを単価計算したことです。義務教育には児童生徒1人あたり年間百万円の税金が投与されるそうで、どの学校でも年間千コマほどの授業が行われているので、百万円を千コマで割ると、「1人1コマ千円」という非常に分かりやすい値段となるそうです。標準的な40人学級では1コマ当たり「千円×40人=4万円」ということになり、授業1コマが4万円の価値を持たなければ教師は不合格ということです。