既存施設はゴーストタウン化?――一方で2500億円投じて日本中を武道場だらけにする意図って

既存柔道場が使用されず、ゴーストタウン化しているケースも?

 名古屋市には109の公立中学校があり、その内、96.5%の105校に武道場が設置されています(櫻井美子,神奈川大学,2013年3月)が、その全ては総合武道場です(月刊武道 2015年6月号)。名古屋市では1992年までにこれらの武道場が設置され、全国でも武道場整備の非常に早く進んだ自治体でした。  ところが近年の調査では名古屋市の武道必修授業で柔道を選択している中学は5校(月刊武道 2015年12月号)、部活動で柔道を行なっている中学も5~6校(櫻井美子,神奈川大学,2013年3月)しかないことが分かっています。この授業と部活動で柔道を行なっている中学は重複している可能性があります。もしそうなら、総合武道場がある中学105校の内、数字上では柔道場部分は約5%の学校でしか使用されていないという計算になります。これを無駄と言わず何と言いましょうか。  共産党の国会議員が名古屋市の中学校授業で剣道の選択が多く柔道の選択が少ない理由について名古屋市教育委員会に質問したところ、「よく分からない」と答えたとのことですが、武道必修化直前に東海地方で柔道の重大事故が複数件起こったことと関係があるかもしれません。愛知県、岐阜県、三重県は柔道の選択率が全国平均よりかなり低いことが分かっています。
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柔道重大事故多発問題が授業内容に影響し武道場の費用対効果が低下
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