既存施設はゴーストタウン化?――一方で2500億円投じて日本中を武道場だらけにする意図って

柔道重大事故多発問題が授業内容に影響し武道場の費用対効果が低下

 武道場の使用状況だけではなく、武道必修授業の内容にも問題があります。本稿連載では授業の内容は武道必修化費用問題というテーマからは外れるのですが、授業の内容が武道場の費用対効果を低下させている一つの要因となっていますので、関連性の高い部分について記述します。  2010年に柔道の重大事故多発のデータが発表されて以降、2012年の中学校武道必修化へ向けて、授業の安全性に対する懸念が広がり、各地の教育委員会は乱取りの禁止や頭部を打つ危険性のある技の制限など、指導内容を大幅に規制する方針を固めました。それにより柔道の技術の体系的な学習が非常に難しくなりました。柔道は全国の中学校の2/3近く(64.8%=月刊武道 2015年12月号)が選択し、「武道必修化の成功のカギは柔道が握る」と言われるだけに、この事態は大きなダメージとなっています。
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年10日の柔道授業では乱取りは無理というのが共通認識
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