サラブリ県内のチームを表敬訪問する湧上氏。すでに有名人で、どのチームでも歓迎されていた
サラブリ報徳堂は支部本部を中心に警察署管轄ごとにチーム分けされている。サラブリ県内だけでも総勢610人、50台の救急車の登録がある。大所帯になればそれだけでも人間関係で揉めるのに、人助けをしたいという気のいい者たちとはいえ荒くれ者も少なくない隊員たちのトラブルはあとを絶たない。
タイ人は外国人を部外者として見る傾向にあり、例え仲よくしていても内心は線を引いている。湧上氏は報徳堂の仲間ではあるが、タイ人気質からするとお客様という感情を持つ者もいる。
その一方でタイ人は人間関係の立ち回り方が非常に賢くてうまい。サラブリ支部幹部は、湧上氏に対するボランティアの感情を逆利用し、各チームを牽制して統率を図っているそうだ。取材当日も各チームの紹介を名目に湧上氏を各チームへ表敬訪問させ、結束を固めているようだった。
そんな取材をしていてバンコクとサラブリの報徳堂では決定的に違う点に気がついた。