報徳堂サラブリで3年前からボランティア隊員をしている湧上氏
報徳堂には現在3人の日本人ボランティアが所属している。ふたりはバンコク都内で、もうひとりはバンコクから約130kmにあるタイ中央部の端、サラブリ県にいる。バンコクならまだしも、なぜそんなところに日本人がいるのか。その人物にコンタクトを取った。
報徳堂における日本人3人目のボランティア隊員、湧上和彦氏は1966年(昭和41年)に沖縄で生まれた。
3歳のとき、両親が農業関係の慈善事業のためにタイに移住し、今年でタイ生活が48年目。タイ語もネイティブと遜色なく話すことができる。タイに来た当初はバンコクにいたが、1988年、両親の都合で家族揃ってサラブリ県に引っ越してきた。
「親もタイに貢献できることをしたいとボランティアで自然農法を研究し、微生物を使った農業などを推進していました」
2001年ごろに湧上氏自身も自身の会社をタイで立ち上げた。タイの企業は欧米のように社会貢献をよく行う。彼の会社も洪水などの災害時におよそ240万円相当の小型ボートと発動機を寄付したという。
「2004年に発生したプーケットの津波の際には私と社員数人で現地に行っています。遺体は炎天下に置かれ、周囲は死臭でひどい環境。そこで微生物を遺体に直接噴霧したり、その土壌をクリーン化する作業を数日間に渡って行いました」
微生物の力で立ちこめていた腐敗臭が一気に消え、現地の医療関係者に喜ばれたそうだ。