ガソリンスタンドや道路上で待機するチームが多い中、ここは近隣住民の協力で待機所があるという恵まれた環境
それまでのタイEMSは慈善団体が担ってきた。それらの多くは華僑が始めたもので、功徳という形で寄付金を集めるという経営モデルが確立されている。その初めての団体は「華僑報徳善堂」である。
報徳堂の活動は1910年に始まり、1937年にタイ政府の認可を得た。当初は貧困層などの遺体を引き取り埋葬する事業を行っていたが、徐々にEMSが中心となる。
1970年ごろには華僑義徳善堂というEMSに特化した団体も登場し、今でもこの2団体がタイのEMS2強とされている。大小多数存在し、現在サワンという団体が地方で勢力を拡大している。
国の管理センターができるまでおよそ100年に渡りEMSは慈善団体が担ってきた。そして、それは今でもあまり変わっていない。というのも、そもそも国が配備している救急車が各県に数台しかない状態だからだ。マンパワーも設備も到底県内すべてをカバーできるものではない。慈善団体の活動は、ボランティアによる活動に支えられており、マンパワーが遙かに強く、救急車や各種装備、活動費用などもすべてボランティアのポケットマネーから捻出されている。