防衛通信衛星「きらめき2号」、打ち上げ成功。防衛省が初めて衛星を持つに至った経緯と重要性

日本と世界の平和を守るための”きらめく星”になれるか

「きらめき2号」を搭載したH-IIAロケットの打ち上げ Image Credit: nvs-live.com

 「きらめき」の運用が始まれば、たとえば日本と海外に展開する自衛隊との間で、あるいは各自衛隊内や、それぞれの乗り物や部隊内の通信が、より円滑にできるようになり、また弾道ミサイルの発射情報なども迅速かつ的確に届けることも可能になるという。  また将来的には、自衛隊のすべての部隊が、他のすべての部隊のセンサーとなり、一体となって作戦などが実施できるようになる可能性もあるという。  現代の戦闘において、情報の伝達や共有はより重要度を増しており、さらに平和安全法制の成立で、自衛隊が他国で活動する機会が増えれば、日本におけるその重要度も、これまで以上に大きくなると予想される。その点で、「きらめき」の打ち上げ、運用がもつ意義は大きい。  もちろん、宇宙を平和利用に限ってきた過去の経緯から、それを良く思われない向きもあるだろうが、いずれにしても、導入が始まった「きらめき」が、日本と世界の平和を守るたの”きらめく星”になって、最大限活用されることを願いたい。

「きらめき2号」の想像図 Image Credit: 防衛省

<文/鳥嶋真也> とりしま・しんや●作家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関するニュースや論考などを書いている。近著に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)。 Webサイト: http://kosmograd.info/ Twitter: @Kosmograd_Info 【参考】 ・JAXA | H-IIAロケット32号機によるXバンド防衛通信衛星2号機の打上げ結果について(http://www.jaxa.jp/press/2017/01/20170124_h2af32_j.html) ・宇宙開発事業団法(http://law.e-gov.go.jp/haishi/S44HO050.html) ・参議院会議録情報 第058回国会 内閣委員会 第14号(http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/058/1020/05804251020014a.html) ・防衛省・自衛隊:自衛隊が保有する通信衛星と無人機の導入に関する質問に対する答弁書(http://www.mod.go.jp/j/presiding/touben/179kai/syu/tou95.html) ・宇宙基本計画(平成28年4月1日閣議決定 工程表(http://www8.cao.go.jp/space/plan/plan2/kaitei_fy27/kaitei_fy27.pdf
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。 Webサイト: КОСМОГРАД Twitter: @Kosmograd_Info
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