前述した1985年の一般化原則を受け、防衛庁(当時)と自衛隊は1990年から、衛星通信の利用を本格的に始めた。
とはいえ、自衛隊専用の通信衛星が打ち上げられたわけではなく、民間企業が打ち上げた商業用の通信衛星の、一部の機能を借り受ける形で利用された。通信回線の太さや速度も特段優れているわけではなく、むしろ他国の軍用通信衛星と比べれば遅れており、音声やFAXくらいしか送受信できないと言われている。また、陸・海・空の3つの自衛隊間でのやり取りや、同じ自衛隊内でも、部隊同士の通信さえ満足にできないといった、多くの問題を抱えているという。
たとえば米国などでは、基本的な高速・大容量の通信を行う衛星から、航空機や艦船、各兵士がもつ端末など移動体向けの通信を行う衛星、さらに核戦争などの際でも影響を受けずに通信できる衛星などを幅広く、それも複数打ち上げており、その差は歴然としている。
そして2011年、防衛省はこうした状況を改善するため、またこのとき(現在も)利用している3機の衛星のうち、2機の設計寿命が2015年に切れること、そして前述した宇宙基本法で日本も宇宙の軍事利用が十分に可能になったことなどを受けて、防衛省が独自に通信衛星をもち、運用することを決定する。それが今回打ち上げられた「きらめき2号」をはじめとする、「Xバンド防衛通信衛星」である。