性能向上ながらお値段据え置き、「強化型イプシロン」となった2号機
試験機(1号機)と、今回打ち上げられた強化型(2号機)との違い Image Credit: JAXA
イプシロンの1号機は2013年9月に打ち上げられ、実に3年ぶりに2号機が打ち上げられることになった。しかしこの3年間、何も行われていなかったわけではなく、さらなる改良が続けられていた。
1号機はあくまで試験機であり、前述の打ち上げシステムの改革のうち、運用や設備といった部分の開発が中心で、機体そのものはあまり新しいところはなかったが、今回の2号機でいよいよ機体にも大きくメスが入れられた。この2号機以降の機体のことを「強化型イプシロン」と呼ぶ。
一番大きく変わったのは第2段機体で、1号機ではM-Vロケットから流用した機体をほぼそのまま使っていたが、強化型ではより大型化した新しい機体が開発された。これにより打ち上げられる衛星の質量(重さ)が増え、地球を観測する衛星がよく打ち上げられる太陽同期軌道という軌道に対して、450kgから590kgへと増えた。
また同時に衛星を搭載する部分も広くなったことで、小型衛星の中でも大きめの衛星も打ち上げられるようになった。
その他にも、機体の構造に軽い材料を使い、形もシンプルにしたり、絶対・確実が要求されるような電子部品にも大胆に手が加えられるなど、小型・軽量化が図られている。
さらに、打ち上げ能力が約30%も増えたにもかかわらず、打ち上げコストは1号機とほぼ同じ約50億円に収まっているという。また将来的には、前述したノート・パソコンでの打ち上げなどを実現させることで、30億円にまで下げたいとしている。