気象衛星「ひまわり9号」打ち上げ成功。2輪のひまわりが見守る私たちの生活と地球の未来

ひまわり9号

気象衛星「ひまわり9号」を載せたH-IIAロケット31号機の打ち上げ Image Credit: 三菱重工/JAXA

 三菱重工と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2016年11月3日、気象庁の気象衛星「ひまわり9号」を搭載した「H-IIA」ロケットの打ち上げに成功した。「ひまわり9号」は現在単独で飛行しており、このあと運用が行われる、インドネシア上空約3万5800kmにある静止軌道まで自力で移動。2014年に打ち上げられた同型機「ひまわり8号」と共に運用が行われる。  気象衛星「ひまわり」といえば、ニュース番組の天気コーナーで「それでは気象衛星『ひまわり』から見た雲の動きです」と紹介されることでおなじみで、毎日の天気予報から、夏から秋にかけては台風の進路予測など、私たちの生活にとって欠かせない存在となっている。  今回は、宇宙に咲いたこの2輪の「ひまわり」がどのような衛星なのか、なぜ「ひまわり8号」と「ひまわり9号」の2機が必要なのか、そしてどのような経緯で造られ、打ち上げられたのかについて紹介したい。 「ひまわり9号」は三菱電機が主となって開発した人工衛星で、2014年に打ち上げられた「ひまわり8号」とは同型機である。質量は3500kg、宇宙空間での全長は約8m。運用期間は8年以上が想定されている。 「ひまわり」は1977年に1号機が打ち上げられて以来、代替わりしつつ長きにわたって、私たちの生活に欠かせない毎日の天気予報や、何十年、何百年にわたる地球環境や気候変動を考える上で欠かせない情報を日夜集め続けている。  また、「ひまわり」はインドネシアの上空から見下ろすように地球を観測しているため、日本以外にも東アジアや太平洋地域も観測できる範囲に入っている。実際に、そうした国々の人々も「ひまわり」を利用しており、日本にとって大きな国際貢献の一つにもなっている。
次のページ
世界最先端の装置を積んだ気象衛星
1
2
3
4
5
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会