「ひまわり5号」が寿命を迎え、その後継機が打ち上げ失敗で失われた際に代打を務めた、米国の「GOES-9」 Image Credit:NOAA
ところで「ひまわり」というと「気象庁の気象衛星」という印象が強いが、実は”気象庁単独の資金で開発された衛星”としては、この「ひまわり8号」と「ひまわり9号」が初めてとなる。
実は「ひまわり」の1号と2号は「科学技術試験衛星」、また3号から5号は「科学技術衛星」という扱いだったため、科学技術庁が費用のすべて、もしくはかなりの額を負担していた。また6号と7号は航空保安システム機器を搭載しており、航空管制と同時に気象観測も行う「運輸多目的衛星」という位置付けだったため、国土交通省の航空局がその費用の約70%を負担していたのである。
そして「ひまわり8号・9号」でも、当初は運輸多目的衛星のように、別の目的と気象観測とを合わせた衛星にすることが検討されたが、肝心の相手が見つからなかった。かといって気象庁が全額を負担するのは、同庁の予算規模からすると難しいとされた。一時は「民間からの出資で開発を」という話もあったというが、商売になるようなものではないし、そもそも気象観測のような国民の生命、公共にかかわる衛星の開発を、国が負担しないのは筋が通らない。
しかし、そうこうしているうちに「ひまわり6号・7号」の寿命が近付きつつあったこともあり、最終的に気象庁が全額を負担して開発することになり、ぎりぎりになって完成したのが「ひまわり8号」と「ひまわり9号」だったのである。
結果的に「ひまわり6号」と「ひまわり7号」からのバトンタッチは無事に行われた。しかし、「ひまわり6号」の気象観測装置の設計上の寿命が切れたのは2010年で、その後継となる「ひまわり8号」が打ち上げられたのは2014年。「ひまわり7号」の設計上の寿命が切れたのは2011年で、2016年にようやく「ひまわり9号」が打ち上げられたということを考えると、ぎりぎりというより、またもや綱渡りが偶然うまく行っただけに過ぎない(もっとも、人工衛星の多くは、設計上の寿命より長生きするのが常ではある)。