鉄道職員の“問題行動”を生み出す「本当の理由」

合理化のシワ寄せが現場の職員を押しつぶす

「一貫して鉄道業界は人員の合理化が進められており、事業者ごとに事情は異なりますが20年前と比べれば現場の職員はかなり少なくなっている。そのため、ひとりひとりの職員の負担がどうしても大きくなっているんです」  もちろん安全運行に関わる運転士や車掌に関しては、勤務時間が大幅に増えるようなことはない。一番負担が増しているのは、“客対応”だという。 「かつては駅のホームにも終日駅員が立っていて、列車の出発合図や乗客の案内などをしていました。ところが、最近は合理化のおかげで駅員は窓口にひとりかふたり、ホームには朝のアルバイトを除けば終日無人という駅も少なくありません。通常どおりに運行されているときはそれでもいいのですが、人身事故などでダイヤが乱れるとわずかな駅員ですべて対応する必要があります」  ダイヤ乱れ時の対応は多岐にわたる。運転再開見込みなどの状況を案内したり、ICカードの入場取り消しや振替輸送の手続き、迂回ルートの問い合わせへの対応などの旅客対応に加えて、指令所などとも連絡を取り合いながら状況を把握していかねばならない。それをわずか数人でこなすのだ。
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