外交的な人がプレゼン上手とは限らない! 内向的だからこそ高められるプレゼンスキル

内なる声に耳を傾ける人こそ、アンカリング上手

 2分間で平均すると、10回程度の答えが出る。多い人で、20回を超える人も出てくる。そして、答える回数が多い人ほど、聞き手をなるほどと思わせる、アンカリングある答えを発することができるようになるのだ。  それには、理由がある。標準的なパターンで説明すると、始めてから5回程度までは、会社から与えられたリーフレットに書かれているような、ありきたりの商品説明の言葉がすぐに思い浮かび、返答になる。そのうちに、リーフレットの内容は言い尽くし、その後、10回目程度くらいまでは、アピールされていない効能を説明する。それも出尽くすと、リーフレットにも効能の説明書きにも書かれていない、他ならぬ自分自身の商品への思いが発露されてくるのだ。  この自分自身の思いこそが、聞き手の心を揺さぶる。どこにも書かれていない、話し手だけが持っている強い思いが、アンカリングを発揮するのだ。それは、外交的な人が、リーフレットや説明書きをいくら巧みにプレゼンテーションしても決して発揮できるものではない。むしろ、自身の内面を見つめることに長けて、内なる声に耳を傾けることができる、いわゆる内向的な人こそが、発揮しやすいスキルなのだ。プレゼンテーションのモデルとして真っ先に名前があがるスティーブ・ジョブズが、内向的な性格であると言われていることは、意外ではないのだ。 ※「なるほどと思わせるアンカリング」のスキルは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル10で、セルフトレーニングできます。 <文/山口博 イラスト/geralt via pixbay(CC0 PublicDomain)> ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身
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