NASAの宇宙望遠鏡、太陽系外惑星を1284個発見。うち9個は地球のような惑星か

 そこでNASAは2009年に、系外惑星を見つけることを目的とした宇宙望遠鏡「ケプラー」を打ち上げた。ケプラーには高性能なディジタル・カメラが搭載されており、系外惑星がケプラーから見て恒星の前を通過した際に、恒星がわずかに暗くなり、その後明るくなったように見える現象を検出し、系外惑星の存在を見つける。こうした検出方法を「トランジット法」と呼ぶ。ちょうど5月9日に、地球から見て太陽の正面を水星が通過する「水星の日面通過」という天体ショーが話題になったが、原理は同じである。  ただ、たとえば観測対象が2つの恒星をもつ「連星」と呼ばれる天体だった場合、恒星の前を別の恒星が通過することで、惑星が通過したように見えてしまう。つまりケプラーでわかるのは系外惑星の「候補」であり、それが本当に系外惑星なのかどうかは、地上や宇宙にある他の望遠鏡を使ってさらに詳しく観測し、判断しなければならない。それには候補を一つひとつ虱潰しに調べるしかなく、時間も労力もかかるという状況だった。

ケプラーは恒星の前を惑星が通過する際の明るさの変化を観測する(図左上)。しかし、他の図のように、恒星の前を通過するのは惑星だけとは限らないため、その通過した天体が本当に惑星なのかどうかは、さらに詳細に調べなくてはならない Photo by NASA Ames / W. Stenzel

 ケプラーは2009年の打ち上げ以来、約4年間にわたって観測を続け、現在は延長ミッションに入っている。その初期の4年間の中で、15万個もの星を観測し、そこから7000個を超える系外惑星の候補を見つけているが、確認作業に時間がかかることから、2015年までに系外惑星だと確認されたものは1000個程度にとどまっていた。  それが今回、わずか1年たらずで1284個が新たに発見され、現在の合計数はそれまでの約2倍となる2268個にも達したのである。
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新たな分析方法が多数の発見につながった
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