「『医薬品』は副作用が怖いからサプリメントで健康維持」の誤解
「そもそも医薬品は厳しい基準で規格が定められており、成分も管理されていて指示されたとおりに使えばリスクよりメリットが大きいのに医薬品を忌避する人がいます。
中身がわかっている医薬品を嫌って成分もはっきりしない、悪く言えば”得体のしれないもの”をありがたがるのは科学的な姿勢とは言えません」
米国の政府機関ODSの調査によれば、マルチビタミン・ミネラルサプリ(MVM)を使用したことある人はそもそもビタミン類が不足していることはなく、摂取すべき集団は使用していないという結果になったという。また、さらにビタミン類は必要以上の量を取っても健康になるわけではなく、過剰摂取による有害影響のリスクも当然出てくるだろう。
エキナセア(ムラサキバレンギク)は風邪の予防や症状緩和に効くなど喧伝されてサプリメントやハーブティとしても人気だが、その有効性に疑問があるだけでなく英国ではアレルギーの警告表示が必要で、アイルランドでは子どもに飲ませないように助言が出されている。しかし、日本ではなんの警告もないまま売られている
「また、MVMのようなものならまだマシで、恐ろしいのはハーブダイエタリーサプリです。植物主成分と謳っていても、内容物がわかりませんし、ハーブ系と謳われている製品に医薬品なら規制を受けるような合成物が入っていることもしばしばあります。
医薬品であれば成分量などもきっちり管理されるんですが、サプリメントに関してはこうした規制をすり抜けてしまう。そのため、肝障害などは年々増加しているのが現実です」
畝山氏の著書では、米国FDAが提唱している「詐欺を見破るための6つの方法」が引用されている。その部分を引用してみよう。
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一つでなんにでも効く:そんなに都合の良いものはまずない。
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個人の体験談:科学的根拠がないことを白状している。
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簡単に問題が解決できる:例えば食事制限や運動無しで痩せられる、など。
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オールナチュラル:天然物が安全とは限らない。
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魔法の治療法:革新的で新発見という用語には警戒。
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陰謀論:医薬品業界や政府が情報を隠している、という主張は消費者に不信を抱かせ(業者によって都合の悪い)正しい情報から遠ざけるために使われる。
「私としては、『痩せる』と謳ったサプリメントはまず避けるべきだと思います。その理由は、
本当に痩せるようならば人体に有害な成分が入っていて健康被害を起こす可能性がありますし、
そうでないならば効果がないからです。次に輸入代行などで入手するボディビル系のサプリメントも危険なことが多いので、一般の方は避けたほうが無難だと思います」