健康食品で「健康になる」とは限らない理由

割高なだけでなく、食の安全から見ても疑問

 先だって、食品の安全性について科学的に評価を行う機関である食品安全委員会は『国民の皆様へ』としてメッセージを取りまとめた。  この報告では、 ・「食品」であっても安全ではないこと。 ・錠剤やカプセル形態のサプリメントは多量に摂りやすく、大量に摂取した場合、健康を害するリスクが高まること。 ・ビタミン・ミネラルをサプリメントで摂ると過剰摂取のリスクがあること。 ・「健康食品」は、品質の管理は製造者任せであって、管理が厳密な医薬品ではないこと。 ・人によって「健康食品」のリスクも変わってくること。

国立医薬品食品衛生研究所安全情報部・畝山智香子先生

 などが、今までにないほど厳しい口調で指摘されている。 「健康食品は一般の食品と比べても割高であることが多く、消費者にとって経済的にも負担になります。その上、製品に関する情報は宣伝・広告が圧倒的に多く、食品の安全性という観点からすると非常に危ういものです」  無駄なコストをかけて健康のリスクに繋がりそうなものをわざわざ買うのか、それとも正しい知識を身につけてその上で選択するのか。いま、健康を気にする人にとっては、その2つの選択肢が提示されている。後者を選ぶ人は、ぜひ畝山先生の著書を手にとってもらいたい。 うねやまちかこ●宮城県生まれ。国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部第三室長。専門は、薬理学、生化学。第一種放射線取扱主任者の資格も持っている。『ほんとうの「食の安全」を考える』(化学同人)、『「安全な食べもの」ってなんだろう?』(日本評論社)などの著書がある。「食品安全情報blog」を通して、世界各地からの食品や健康などについての情報を発信している。 <取材・文/HBO取材班>
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「健康食品」のことがよくわかる本

巷に氾濫する「いわゆる健康食品」とともに、その真実を暴く。