というわけで、新幹線と駅舎とゲレンデというインフラを保有しているJR東日本だからこそ提供できる上記の魅力が、新たに流入してきた利用者層のニーズにマッチしたため、JR東日本は再びガーラ湯沢に勝機を見出したのではないでしょうか。
一方で、そのために切符などは相当ディスカウントしているわけですが、これはいわゆる管理会計と財務会計の違いの一つで「
限界利益次第ではビジネス的に赤字でも受注していい」ケースと見れるかもしれません。ものすごく端的に言うと、運送会社が何も乗せずに走る時間があったら、安くでいいから何か載せといた方がマシという話ですね。しかも、ガーラ湯沢の場合は日帰りも多いので、1シーズンに複数回来てもらうというオプションもありえます。
とはいえ、当然ながら固定資産やキャンペーンの費用負担を考えると、ガーラ湯沢が本格的に復活というにはまだ早そうですし、今後は最近花盛りの「駅ナカ」ビジネスなどで客単価のアップにも取り組んでいく必要がありそうです。ちなみにガーラ湯沢駅は本来Suicaの利用圏外ですが、2階のショップではショッピングサービスが利用できます。
しかし、日本のスキー産業全体を考えても、最近はニセコやトマムなどの訪日外国人向けの北海道のリゾート系が注目を浴びることが多いですが、やはりそれだけでは寂しいので、バブルの頃とは違う形で皆が手軽にスキー場に足を運べるような身近な存在として、ガーラ湯沢には頑張って欲しいですね。<写真/
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決算数字の留意事項
基本的に、当期純利益はその期の最終的な損益を、利益剰余金はその期までの累積黒字額or赤字額を示しています。ただし、当期純利益だけでは広告や設備等への投資状況や突発的な損益発生等の個別状況までは把握できないことがあります。また、利益剰余金に関しても、資本金に組み入れることも可能なので、それが少ないorマイナス=良くない状況、とはならないケースもありますので、企業の経営状況の判断基準の一つとしてご利用下さい。
【平野健児(ひらのけんじ)】
1980年京都生まれ、神戸大学文学部日本史科卒。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの『
SiteStock』や無料家計簿アプリ『
ReceReco』他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業、全国の企業情報(全上場企業3600社、非上場企業25000社以上の業績情報含む)を無料&会員登録不要で提供する、ビジネスマンや就活生向けのカジュアルな企業情報ダッシュボードアプリ『
NOKIZAL(ノキザル)』を立ち上げ、運営中。