次に死亡統計を見ましょう。
本邦では、第三波エピデミックの日毎死亡者数は、2/7〜2/9に減少へ転じました。しかし二週間変化率が-25%前後で下げ止まってしまっています。これは半減期約2ヶ月に相当し、100人/日に達した日毎死者数が10人/日まで減るのには7ヶ月を要し、現状で9月までかかるという微々たるものです。勿論、そのような長期間かかるとその間に何らかのSurgeやSpikeが発生し、すべては水泡と帰します。結局1カ月後の現在で日毎死亡者数の一週間変化率を見ると既に増加に転じる日が現れています。3月に入り日毎新規感染者数が増加に転じていますので、第四波エピデミックによる医療への負荷が顕在化するのは3月末から4月初めになると予想されます。勿論、直ちに感染症制圧政策を採れば4月下旬には成果が現れますが、その可能性は現時点で殆ど無いです*。
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(独自)政府、21日で緊急事態宣言解除へ 1都3県 20211313 産経新聞:”厚生労働省に助言する専門家組織が11日に行った非公式の会合では、主要メンバーから「もう打つ手がない」との意見が出たという”〉
日韓における日毎死亡者数の推移を比較すると
本邦の死亡者数の減少が著しく遅れていることが分かります。
本邦における日毎新規感染者数は、1/20頃に減少をはじめ、1カ月後の2/20には最大値の1/5まで減少しています。ところが日毎死亡者数は、
日毎新規感染者数に約10日遅行ですので1/30には減少に転じなければならないところ減少開始は20日遅行し、1カ月後の時点で最大値の約半分と臨床上の経験値に2.5倍の死亡数となっています。
これは極めて異常な値であり、
統計に大きな歪みがあることが強く疑われます。何しろ
日本人だけ発症後2倍の40日間(臨床上の平均値は発症から死亡まで18日)苦しみ、同じだけ死亡するという理不尽なことはあり得ません。世界中で日本だけ医療の水準が高く、重症者が二倍の基幹長く生存するなら救命率は上がると考えるべきでしょう。しかし致命率(CFR)*は1月から増加し続け、悪化の一方です。
〈*Case Fatality Rate (CFR) とは、診断付きの死者数を診断付き感染者数で割ったものである。その為概ね10倍ほどの過大評価となる傾向があるが、実測値として一般的に使われている。これに対し真の死者数を真の感染者数で割ったものはIFRであるが、推定値となる〉
何度も指摘してきたように死亡統計は、大きく誤ることはありえない、死亡統計にメイキングを行えば、超過死亡率というかたちで全世界にばれて大恥をかくため、このおかしな挙動は、死亡数統計が主たる原因ではないと筆者は考えています。
いずれにせよ、本邦は現在一日50人前後の人がCOVID-19で死亡していますが、今の状態が維持されれば来週後半から再来週にかけて40人台の半ばを起点として2〜4ヶ月間の死亡数第四の波を迎えることになります。
現在韓国では、日毎死亡者数5人/日(人口換算で本邦の12人/日に相当)の死者数ですが、今週から来週にかけて日毎死亡者数が増加に転じると考えられます。
台湾では、1月以降、3名が死亡しており、累計死亡総数は10人です。これは人口換算で本邦の57名に相当します。実際の本邦における累計死亡数は、2021/03/14現在で、8587名ですから、台湾は本邦に比して1/150の人口あたり死亡率という事で、実力差を見せつけています。
累計死亡者数と致命率(CFR)の推移で如実にわかってきた日本の統計のおかしさ
次は、累計死亡者数と致命率(CFR)の推移を見ましょう。
日本、韓国、台湾とアジア全体における百万人あたり累計死亡者数の推移(ppm,線形)2020/09/01-2021/03/14/本邦に見られる1/1の小さな”こぶ”は、集計漏れの死亡者数をこの日に一括計上したことによる/ 日本、韓国、台湾、アジア全体における致命率(CFR)の推移(%,線形) 2020/09/01-2021/03/14/本邦に見られる1/1のCFR上昇は、集計漏れの死亡者数をこの日に一括計上したことによる統計の乱れによる/OWID
累計死亡率では本邦は11月、韓国では12月に第三波エピデミックの影響が現れ、日韓共に大きな犠牲を出していることが分かります。日韓共に第三波エピデミックに対する初動には誤りや遅れがあったとするほかありません。韓国では1月下旬には一応収束しましたが、本邦は3月14日現在でも収束の目処がつきません。この状態で本邦は第四波エピデミックの立ち上がりを迎えています。
致命率(CFR)を見ますと、韓国では12月下旬からCFRが上昇しはじめ、筆者は、「韓国の医療は、負荷に弱いのかな?」と考えていました。この時点で本邦のCFRはまだ横ばいだったからです。しかし年が明けて1/19から本邦のCFRは歯止め無く上昇し続けており、既にアジア全体、韓国、合衆国を上回っています。近日中に本邦のCFRは、2%を超えるものと思われます。これは医療への負荷がたいへんに重い、悪い状態を示しますが、一方で日毎新規感染者数は、既に11月上旬並みにまでは改善しています。昨年11月10日頃は、医療への負荷の増加が懸念されていた頃ではあっても致命率が上がるような状況にはありませんでした。
ここに本邦の統計のおかしさが如実に表れています。次回は、いよいよこの本邦死亡統計のおかしさを検討します。
今回は、日韓台の定点観測としながら台湾については余り言及していませんでした。これは台湾の状態がたいへんに良いためで、余り言及する内容も無いからです。
台湾では、空港検疫を含む新規感染者数0の日が増えています。これは台湾の人々の努力の結果であり、別に天賦のことではありません。
新規感染者数0を誇るゾンチャイ(総柴) 中華民国衛生福利部(台湾厚生省)2021/03/13。IT相オードリー・タン氏の作品である