「生活保護の扶養照会は義務ではない」。田村厚労相からこの発言を引き出した小池晃の質疑
「扶養照会は義務ではございません」
小池晃(4問目):
『厚労省は年末にこういうホームページを出しました。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください。生活保護の申請は国民の権利です。私、これいいと思いますよ。年末、大臣も記者会見でそのことを言ってくれたじゃないですか。ためらわずに申請してくださいと言うのであれば、申請をためらわせるようなことは止めるべきだと、見直すべきだと私は思うんですよ。確認しますが、生活保護法に扶養照会をしなければならないと書いてありますか?』
田村憲久 厚労大臣:
『あのー、扶養は保護に優先するということではありますが、先ほど申し上げたとおり、義務ということではございませんので、あの、そういう意味では義務ではございません。義務じゃございません。扶養照会が義務ではございません。(青信号) 』
小池晃:
『だったら止めましょうよ。法律に扶養照会って書いてないんですよ。義務じゃないんですよ。実施要領という一通知だけなんですよ、これ。大臣が決断すればできる。そういうことじゃないですか。ためらわずに申請してくださいと言っているのであれば、やはりこの際ですね、これだけコロナでみんな苦しんでる。総理、「最後のセーフティーネット」「最後は生活保護」だと言った。私は生活保護に行き着く前に本当にいろんな手立てで支えなければいけないと思いますよ。でも「最後は生活保護だ」とまで言うのであれば、それを阻んでいる、躊躇わせているものについて、こういう時に見直す必要があるんじゃないですか。』
質問は「法律に扶養照会をしなければならないか書いてあるか」であったが、概ね質問に対応した内容を答弁しているため、青信号とした。田村厚労大臣は実に3回も連続して、扶養照会が「義務ではない」と答弁した。
この答弁を受けて、すぐさま小池晃議員は扶養照会の見直しを提言しているが、本記事では省略している直後の田村厚労大臣や菅総理の答弁では、のらりくらりとかわすばかりで、結局、前向きな回答は得られなかった。
とは言え、これまで生活保護を必要とする人たちが申請をためらう大きな理由であった扶養照会が「義務ではない」と現職の厚生労働大臣が国会で答弁した意味は大きい。これによって、自治体の窓口で生活保護を申請する際、もし「扶養照会する」と言われてしまった場合であっても「厚労大臣が義務ではないと答弁している」と主張できるようになるのではないか。
<文・図版作成/犬飼淳> ハッシュタグ
