「生活保護の扶養照会は義務ではない」。田村厚労相からこの発言を引き出した小池晃の質疑
生活保護申請のネックだった家族への通知

つくろい東京ファンド 生活保護利用に関するアンケートを元に筆者が作成したグラフ
最初はのらりくらりと赤信号答弁をしていた田村厚労相
小池晃(1問目):
『総理は昨日、「最後は生活保護がある」と言いました。えー、最後のセーフティーネットとしての役割を、しかし果たしていないんじゃないですか。捕捉率。生活保護を必要とする人の2割しか利用できていない。あの、年末年始、私は都内各地で生活に困窮している方の相談会に参加をしました。そこでは生活保護を利用した方がいいんじゃないかなと思われるような方が「利用したくない」と言われる方が本当に多かった。困窮者の支援をしている東京・・、つくろい東京ファンドのアンケートでは「生活保護を利用しない」と答えた方の3人に1人が「家族に知られたくないから」だと答えています。
厚労省。扶養照会ですよね。扶養照会とは何ですか?やめるべきじゃありませんか?』
田村憲久 厚労大臣:
『あの、扶養が保護に優先するっていうのは、もうこの生活保護制度の基本原理でございます。でありますから、あの、一応、この、扶養という意味が、意味、意味と言いますか、というものをですね、一応、まあ、前提と言いますか、義務ではありませんが、あの、優先はすると。義務ではありません。優先、優先するということであります。(赤信号)
あの、ちなみにですね、そうは言いながらですね、そもそも家族関係が壊れているような方、こういう方に扶養照会することはございませんので、えー、例えば直接そういう方に電話するというよりかは、あの、そういう方がおられれば事情等を聞きましてですね、えー、まあ、自治体等々にお聞きすることがあるかも分かりませんけれども。あの、まあ、20年ぐらい音信不通の方、それから、あとDV等でですね、そもそも照会したことによって、自立が阻害される。えー、こういう方々にも照会しないということに致しております。あの、親族関係がですね、しっかり壊れないように配慮しながら対応して参りたいと思っております。(赤信号) 』
この1問目の回答の中身を確認すると、1段落目も2段落目も論点をすり替えており、赤信号とした。
1段落目
【質問】扶養照会をやめるべき
↓ すり替え
【回答】扶養と保護の優先度
2段落目
【質問】扶養照会をやめるべき
↓ すり替え
【回答】家族関係が壊れている場合の扶養照会の方針
小池晃議員はシンプルに扶養照会をやめるべきと提言しているのだが、田村厚労大臣の口からは回答と解釈できる内容は一言も無かった。また、「家族関係が壊れているような方に扶養照会をすることはない」と述べており、「家族に知られるのを嫌がる人=家族関係が壊れている人」と解釈しているように見受けられる。家族関係は良好であっても相手に心配をかけることを恐れて申請をためらうケースは多いと思われるが、田村厚労大臣の認識ではそうしたケースは抜け落ちている。
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