東京都医師会の尾崎治夫会長は11月20日の会見で、10月1日の「GoToトラベル東京除外解除」が第三波の感染拡大の引き金になったことを示唆、GoToトラベル中断を訴えた
「GoToトラベル停止(中断)」を求めていた医療関係者は尾身会長だけではない。東京都医師会の尾崎治夫会長も昨年11月20日の会見で、10月1日の東京除外解除が第三波感染拡大の引き金になった可能性を指摘したうえで、即時中断を訴えていたのだ。
今年1月2日になってやっと、小池知事は神奈川・埼玉・千葉の3県知事と共に緊急事態宣言の要請を行った。
1か月以上前の11月下旬に「GoToトラベル中断」を政府に迫っていれば、現在のような感染爆発は回避できた可能性が高いのではないだろうか。
知事方針決定に関する文書は、「文書不存在」ということで開示されなかった
なぜ小池知事は早い段階で「GoToトラベル中断(東京都の除外)」を菅首相に求めなかったのか。そして「高齢者と持病のある人の自粛」という小出しの対策だけで合意してしまったのか。知事方針決定に関する文書(専門家からのヒアリングや議論や都担当者との会議など)の開示請求を11月27日と12月11日にしたが、いずれも
「対象文書は不存在」という回答だった。
「小池知事と菅首相の面談記録」についても、「文書不存在」ということで開示されなかった
また
「小池知事と菅首相の面談記録」の開示請求もしたが、こちらも文書不存在で両トップがどんな意見交換をして合意をしたのかについては、まったくつかむことができなかった。
驚くべきことに小池知事は、GoToトラベルに関する方針決定過程を文書に残さないまま、医療関係者の“直訴”を聞き流し続け、菅首相と責任をなすりつけ合う“政争”に明け暮れていたのだ。
そして知事は、筆者の声掛け質問に対しては一言も答えない対応をずっと繰り返してきた。昨年11月20日以降、指名されなかった筆者が退出する小池知事に質問を浴びせ、都職員がマイクで「会見は終了しました」と大声で被せてくるという都知事会見の“風物詩” (筆者の著書
『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』の冒頭で紹介)が続いたのはこのためだ。
東京都医師会・尾崎会長による「GoToトラベル一時中断」の訴えも小池知事は無視
東京都医師会の尾崎会長が緊急会見を開いて「GoToトラベル」の一時中断を訴えた11月20日、この日も指名されなかった筆者は小池知事の会見終了後にこう叫んだ。
「菅さんにGoToキャンペーン中断を、申し入れないのですか。(9月30日までの)東京除外している時より感染者数が、増えているではないですか。見て見ぬふりをするのですか? (菅さんが官房長官から)総理大臣になったから物を言わなくなったのですか。言いなりですか?」
しかし、小池知事はこの日も無言で立ち去った。さらに、菅首相との会談をした11月24日の翌25日に行われた臨時会見でも、小池知事が「GoToトラベル中断」を申し入れなかったことを受けて、こう声掛け質問をした。