300万円払っても矯正が一向に終わらない! 悪徳矯正治療医との長い戦いの日々

歯科医をどう見極めるか

 もちろん、多くの歯科矯正医師は誠実に治療をしているが、わずかながらこうした「悪徳」矯正歯科医は存在する。では、矯正歯科医を選ぶ時にはどのような点に気を付ければいいのだろうか。この事件の訴訟代理人となった本田弁護士と吉村弁護士によれば、歯科医師にかかる時のポイントは以下の通りである。  まず、歯科矯正には多額の費用が掛かり、また一度契約すると費用の返金が難しいのでよく説明を聞いて慎重に契約することが必要とのこと。  そして、安心して掛かることのできる歯科医は、(1)費用が普通であること、(2)2~3人で経営しているという特徴があるという。  吉村弁護士は「まず、費用については、高過ぎても安過ぎても危ないと思います。なぜなら、今回のケースもそうですが、高過ぎる場合は何か突飛な治療をうたっている場合が多い。歯科医の治療は複雑なので、簡単に他のクリニックと異なる治療はできません。にもかかわらず、不当に高い金額を提示している場合には何かがあると思った方が無難です。また、安過ぎる場合にも杜撰な治療をしている場合が多いです。  また、1人で経営している病院は独裁になりやすい。若手の雇われ歯科医がいたとしても、経営者が1人では、おかしなことをしていても周りが意見し辛い。その点、経営者の歯科医が2~3人いるというのは安心できます。  また、一概には言えないのですが、余りに高齢な歯科医の場合は最新の情報をキャッチアップできていないケースもあります」としている。定評のある大学附属の歯科病院で准教授や講師などを務めていた医師は信頼できるという見方もあるそうだ。

診療開始時にチェックすべきポイント

 診療開始時にチェックすべきポイントもある。それは、(1)初診の時にきちんと患者の話を聞いてくれること、(2)診療報酬の説明が丁寧であること、(3)デメリットをはっきり言ってくれること、の3つが大切なのだそう。  本田弁護士によれば「“自分が開発した独自の治療法”を提唱する歯科医や海外の大学で多くの研修を修了したことなどをHPに長々と記載する歯科医は危ない」とも言う。存在の特異性をアピールして集客し不当に高い料金を取っているケースも多いのだとか。  また、患者が以前に治療を受けていた歯科医師など他の歯科医師の批判を口にする歯科医も要注意。同じ理由で歯科医を自分に鞍替えするよう差し向けるケースも多いという。  医師の医療過誤訴訟はよく耳にするが、歯科医の訴訟はあまり耳にしない。命に差しさわりがないことや被害額が比較的低額であることから、訴訟費用等を考えると患者が泣き寝入りしている場合が多いからだという。  一方、歯科医師側は訴訟提起されたとしても、歯科医師向けの賠償保険制度を利用すれば最終的には金銭的なダメージが抑えられるという実情がある。  歯は健全な食生活を送る上で大事な人間の器官であることには違いない。今回は実際にあった矯正治療のトラブルを紹介したが、次回以降は、歯にまつわるトラブルと予防法、そして治療に関するトラブルを防ぐための新システムである専門医制度のあり方などについて、公的機関や専門医に対する取材を通して検証していく。 <取材・文/HBO編集部>
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