報道の「見出し」に潜む危険性。共同通信が使った「反政府運動」という言葉の問題点

不適切な報道には事後の説明を

 「官邸、反政府運動を懸念し6人の任命拒否」という11月8日の共同通信の記事は、任命拒否された6名の学者にとっては大変な報道被害だ。なぜそのような報じ方になったのか、共同通信は説明すべきだ。  しかし、この問題を取り上げたJ-CASTニュースが翌日の11月9日に共同通信社に取材したところ、共同通信社総務局は「記事の差し替えなどは適宜行っていて、通常の編集作業の一環です」と答え、批判については「コメントする考えはございません」と答えたという。 ●「反政府運動」共同通信の記事に違和感噴出 見出し変更も「コメントする考えはございません」 J-CASTニュース 2020年11月9日  筆者はこの対応をとても残念に思う。共同通信社を筆者は基本的に信頼しているのだが、この11月8日の報道については、なぜこのような見出しになったのか、公式な説明がほしい。説明があり、改善策が語られることが、信頼回復のためには大切だ。  報道の力は、よくも悪くも大きい。その力を濫用せずに、適切に使っていただきたいのだ。 ◆【短期集中連載】政治と報道 第9回 <文/上西充子>
Twitter ID:@mu0283 うえにしみつこ●法政大学キャリアデザイン学部教授。共著に『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。働き方改革関連法案について活発な発言を行い、「国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている。また、『日本を壊した安倍政権』に共著者として参加、『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説、脚注を執筆している(ともに扶桑社)。単著『呪いの言葉の解きかた』(晶文社)、『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』(集英社クリエイティブ)ともに好評発売中。本サイト連載をまとめた新書『政治と報道 報道不信の根源』(扶桑社新書)も好評発売中
1
2
3
4
『日本を壊した安倍政権』

2020年8月、突如幕を下ろした安倍政権。
安倍政権下で日本社会が被った影響とは?