菅首相のジャカルタ内外会見は、質問と回答が用意された”ヤラセ会見”。現地記者からも抗議の声

すべての質問に対して、用意された台本を読み上げた菅首相

インドネシア・ジャカルタで内外記者会見を行う菅首相その2

内外記者会見を行う菅首相。終始原稿に目を落としていた(首相官邸ウェブサイトより)

 この内外記者会見では、山田真貴子・内閣広報官(長谷川栄一氏の後任、前総務審議官)が司会を務めた。山田氏は「指名された方は、スタンドマイクに進み、所属と名前を言ってから質問ください。マスクを着用ください」と言って、「では、2列目のこちらから見て左から2番目の方どうぞ」と指名した。ランダムに当てているようにふるまっていたのだ。  指名されたフジテレビの千田記者が「総理はインド太平洋構想を強調しているが、王毅中国外相は、『インド太平洋版の新たなNATOの企てだ』と批判している。中国への海洋進出に懸念がある中、どう進めるか。日中韓サミットはどうするか」と聞いた。  菅首相は「特定の国を対象としていない。(新たな)NATOを作る考えはない。日韓間の外交の一つひとつには答えないが、日中韓サミットの日程は決まっていない。日本企業の差し押さえ資産が現金化されれば、日韓関係について深刻な事態を招くので絶対避けなければならない」と答えた。回答はすべて台本を読んでいるもので、首相自身の言葉ではない。  広報官は「次は外国プレスの方。同時通訳になる」と述べ、「それでは、最前列の左端にお座りの方」とその場で指名しているようにふるまったが、芝居が下手だ。  指名を受けた『アンタラ通信』のマワンギ記者が「今回の初めての2か国訪問の目的は、安倍前総理の流れを継承するものか。あるいは、総理御自身の掲げる日本の外交方針に基づくものか。また、総理の外交方針は、特に南シナ海における中国の強い影響力及び『自由で開かれたインド太平洋』構想に関する日本の立場を踏まえたものか」と聞いた。  菅首相はマワンギ記者が質問している時から、台本に目を落として回答を読んでいた。そして「自由と法の支配を求めることは、私の政権においても変わらない」などと答えた。  広報官は「それでは次に日本のプレスの方、どうぞ」と言って、『朝日新聞』の伊澤記者が指名され、「内政について聞く」と述べた。日本学術会議の任命拒否問題。原発汚染水問題、臨時国会に臨む方針を聞いた。  菅首相は伊澤記者への回答も、用意された問答集を読んだ。 「学術会議は国の予算を投じている。出身やそういうものを総合的、俯瞰的に判断した。前会員が推薦された方がそのまま任命された前例踏襲でいいのかを考えた」  広報官は「終了予定の時間が来ている。次で最後にしたい。恐縮です」と述べ、『ジャカルタ・ポスト』のスプティアリ記者が質問に立った。 「南シナ海やナツナ島の問題を踏まえ、日本はインドネシアとの間で、どのように海洋安全保障に取り組んでいくのでしょうか。日本自身が中国への対処から得た教訓は、何ですか。また、インド太平洋地域における日米豪印の枠組みにおいて、インドネシアはどのように位置づけられていますか」  菅首相は質問の時から台本を見ていて、次のように回答を読み上げた。 「力と威圧の動きには毅然と対処する。南シナ海には、法の支配、国際法に基づく解決を目指す。防衛装備品の技術移転を地域に進める」  結局、内外記者4人への回答は全部読み上げだった。会見は0時36分に終わった。たった26分の会見だった。
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「許可した質問以外はするな」と言われた
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