「桜を見る会」の実態を知らなかったからこそ立ち上がった問題意識ーーしんぶん赤旗日曜版・山本豊彦編集長との対談を振り返って(第2回)

大手メディアは何をしていたか

 ここでぜひ、大手紙の政治部の記者たちに問いたい。あなたたちには、このような「桜を見る会」の実態は「もう、知ってるよ」という話であったのか。そしてそれは、国民に改めて知らせる必要がない実態だと思っていたのか。だとしたら、それはなぜか。 昨年10月13日に「しんぶん赤旗」日曜版がスクープを打ったあとで、山本編集長は大手紙に「ぜひ、一緒にやろうよ」と呼びかけたが、反応は鈍かったという。 ********** ●山本:実はそれはですね、ウチの新聞が出てすぐは、あんまり官邸だとかいうのは、危機感を持ってなかったんですね。 ●上西:10月13日の段階では。 ●山本:そうです。なんでかってというと、そのあと、いろんな人に、「ぜひ一緒にやろうよ」って私も言ったんですけれど、なかなか大手紙も乗ってこなくて、どこも取り上げない。 ●上西:ほかの新聞が。だから、そのへんが不思議というか、ある社が取り上げたものを、他の社が後追いをするのってなんか、やっちゃいけないっていうか。やるもんじゃないっていうような雰囲気がありますよね。 ●山本:まあでも、そんなこともなくて、今は結構、非常に大事な問題だったら、私たちもやるし、他の新聞もやるんですけれども、今回はね、私たちはそれなりにこう、苦労して、それなりに渾身のスクープとして出したんですけれど、全く相手にされず、非常にがっくりきましてですね。  だから官邸なんかも、あんまり各紙もやんないからと、あんまり危機感がなかったんですよね。 **********  なぜ大手紙は後追いしなかったのか。それは、なぜ大手紙は毎年の「桜を見る会」を取材していながら、その実態を山本編集長のように驚きをもって受け止めることができなかったか、ということと通底する問題だろう。  山本編集長によれば、昨年10月13日の「しんぶん赤旗日曜版」のスクープだけでなく、昨年11月8日の田村智子議員の国会質疑に対しても、大手紙の反応は当初、鈍かったという。  次回の第3回では、その大手紙の反応に注目していきたい。また大手紙が反応していく上では、実はツイッター上での市民の反応が重要であったという点にも、触れていきたい。 <文/上西充子>
Twitter ID:@mu0283 うえにしみつこ●法政大学キャリアデザイン学部教授。共著に『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。働き方改革関連法案について活発な発言を行い、「国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている。また、『日本を壊した安倍政権』に共著者として参加、『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説、脚注を執筆している(ともに扶桑社)。単著『呪いの言葉の解きかた』(晶文社)、『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』(集英社クリエイティブ)ともに好評発売中。本サイト連載をまとめた新書『政治と報道 報道不信の根源』(扶桑社新書)も好評発売中
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