れいわ新選組、重度障害者の女性を参院選の公認候補に。「当事者の声を国会へ」

障害当事者として政治に参加し、少しでも変えていきたい

 地域で暮らす障害者は「(介護保障)運動をしなければ、命すら保障されないほど深刻な状況に置かれている」と木村氏は指摘する。 「自分でベッドに移動できないので、ずっと座椅子の上で寝るしかなく、褥瘡(じょくそう=「床ずれ」のこと)ができたりする。ヘルパーは1日1回しか来ないので、食事も取れない。そんな人たちがいます。  今、全国的に人手不足です。重労働で賃金が安い介護職の分野には、さらに人が集まらない。せっかく命がけで施設を飛び出して自立生活をしたのに、『人手がない』という理由で、お盆や暮れは介護事業所からショートステイで施設に入れられてしまう始末です。そんな厳しい現状の人がどんどん増えています」(木村氏)  また、「障害者」と一括りにして捉えられがちだが、障害はそれぞれに違う。介護の方法も異なる。 「行政は『地域移行』を掲げていますが、障害者の生活を壊し、施設に逆戻りさせてしまう政策は明らかな人権侵害であり、あからさまな差別です。立候補させていただく理由は、障害者運動をしていく中で山本太郎さんと出会い、『障害を持った当事者の事情を直接、国会に訴えていってほしい。一緒に戦っていきましょう』と声をかけていただいたから。  私のような重度障害者が国会に声を届けるチャンスを太郎さんからいただいて、今回、立候補させてもらうことを決意しました。厳しい状況を強いられている仲間たちの苦悩と叫びを(伝えたい)。私が障害当事者として政治に参加し、少しでも変えていくことができたらと思っています」(木村氏)

障害者が生きられる社会は、誰にとっても生きやすい社会

バリアフリーのシンボルマーク 木村氏はこれまで、「障害者が生きられる社会は、誰にとっても生きやすい社会」だと訴えてきた。 「障害者は障害を持った時点から、教育の場面、働くところ、住む場所、遊ぶ場所、どこでも分けられてしまう。そのことで街の中のバリア、人の心の中のバリアも広がっていきます。分けられれば分けられるほど、差別はひどくなっていくばかりです。  それは私にとっても、非常に生きにくい社会です。そして、誰にとっても生きにくい社会のはずです。小さいときからともに育ち、学び、遊び、支え合って生きる社会は、差別のない誰もが生きやすい社会になると信じて、戦っていきたい」(木村氏)  木村氏の話が終わり、会見は質疑応答に移る。山本氏が「質問はありませんか」と会場に声をかけた。数秒間、沈黙が続く。このとき、記者たちは固まっていた。 「質問が浮かびませんか?」  そう問いかけた山本氏にしても、重度障害者と接したのは木村氏やその仲間と出会ったときが初めてだったという。「どう接していいかわからなかった。失礼だが、『腫れ物に触る』ような感じ」(山本氏)と当時を振り返っている。  筆者は木村氏に「政治の場での活動と、これまでの活動はどう違ってくるか」を尋ねた。 「私の現状を訴えるという意味では、そんなに変わらない。ただ、場所が地方自治体の行政ではなく、国会のたくさんの議員さんの前で、私の存在と私の状況を知ってもらう。そのことで国会の中のバリアなどがなくなっていったらいいなと思います」(木村氏)
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目指すは「真のバリアフリー」
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