れいわ新選組、重度障害者の女性を参院選の公認候補に。「当事者の声を国会へ」

普通の女性として、当たり前に生きていたかっただけ

 木村氏は厚生労働省との交渉でも「かなり攻めの姿勢で、理路整然と官僚たちとやり合える人」(山本氏)だという。役所との折衝に何度も同行する中で、「有事の際には一緒にやりたい」「この人は国会に必要なんじゃないか」という気持ちが山本氏の中に芽生えていった。 「私が立候補する理由は、『障害者運動を続けていくなら、政治に参加して戦っていこう』と思ったからです。今までは障害者の仲間とともに、地域で生きるための介護保障制度について行政に運動していくことが、私の生活そのものでした。  私は地域に出て、健常者と同じように、ただ普通の女性として当たり前に生きていきたかっただけなのに。地域に出たとたん、障害者の介護保障運動をしなければ生きていけないことを思い知りました。地域で生きていく以上、死ぬまで運動していくことが今の私の現実です」(木村氏)

障害福祉と介護保険の統合で、介護サービスが低下

車いすの女性 木村氏が現在取り組んでいる運動の状況とは、どのようなものなのだろうか。 「2003年に『措置』から『契約派遣』に変わって、ヘルパー派遣について行政は責任を放棄し、民間に投げてしまいました」(木村氏)  少々補足が必要だろう。2003年4月、障害福祉サービスは、従前の「措置制度」から「支援費制度(利用契約化)」へと移行した。  措置制度では、障害者があるサービスを利用する際、行政が利用決定を行っていた。サービスの対価は“行政から事業者に”給付される仕組みだ。一方、支援費制度では“行政が障害者に”支援費を給付。障害者は、事業者との契約に従ってサービスを利用することになった。 「さらに、障害福祉制度と介護保険を統合しようとする国の動きの中で、地域で暮らしている障害者の生活が壊されようとしています。  障害者は65歳になったとたん、『高齢者』の枠に入る。今まで受けられた介護制度を減らされ、命を脅かされています。  障害福祉で必要な介護時間を保障してもらっていた一人暮らしの障害者は、65歳になったとたんに介護保険に組み込まれ、介護時間を減らされて外出もできなくなり、お風呂にも入れなくなりました」(同)
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障害当事者として政治に参加し、少しでも変えていきたい
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