高田馬場に「世界一のチェーン店」が登場!-「沙県小吃」
最後に向かったのは高田馬場。
学生と外国人が多いこの街には「世界最大のファストフードチェーン」日本1号店がある。それが、中国・福建省発のファスト中華「
沙県小吃」だ。
沙県小吃高田馬場店
沙県とは福建省の県名で、小吃(軽食)が名物として知られる。「沙県小吃」はもともと沙県の人々がこの地域で名物であった軽食店をチェーン展開していったものだが、経営問題などもあり、1997年には沙県の政府が経営に参加。「沙県小吃同業公会」を設立し、それぞれの店舗の規格を定めて全国展開を開始。そして店舗網は爆発的に広がり、2015年には2万店、そして2019年には
6万店を超えているという。
これだけ店舗数が多く、また前述の同業公会に登録すれば展開できるという個人経営のFC店であるために中国本土でもいくつかのロゴが混在しており「本物の沙県小吃かどうか分からない」という状況になっているのも中国らしい。
この「高田馬場店」のロゴも本家とは少し違う気がするのだが…細かいことは気にしないでおこう。(*ちなみに中国では滅多に見かけない「新CI」の看板なだけで、同店は正真正銘の沙県小吃FCである)
沙県小吃高田馬場店がオープンしたのは2018年6月。それからしばらくはメニュー数が少ないプレオープンのような状態だったが、今年1月よりメニューも大幅に増え、晴れて「グランドオープン」を迎えた。
ちなみにこの沙県小吃高田馬場店、公式サイトがあるのだが何と中国語のみ。その潔さにも万歳だ。
店頭に掲げられたメニューの横にはメディア情報が。最近はテレビに出る機会もあるという
沙県小吃高田馬場店は食券式。店内は1階がカウンター、2階がテーブル席。内装は元々居抜いた店舗のままと思われるが非常に綺麗で清潔だ。カウンター内では料理を仕込む様子も見て取れた。
まずは券売機で注文
看板メニュー「蒸し餃子」は480円(税込)。先述したとおり、沙県小吃はFC展開であるため店舗によって価格が異なるが、この蒸し餃子は中国では6~8人民元くらい(8人民元は約125円)。そのため、日本での価格は中国の約4倍だ。
この「蒸し餃子」に「拌麺(バンメン…混ぜ麺)」、「ワンタン」、「蒸しスープ」が沙県小吃の定番メニューで「四大金剛」と呼ばれている。ワンタンやバンメンにはピーナッツの香ばしい香りが漂う。このほか「滷肉飯(魯肉飯、ルーローハン)」や「米線」(ビーフン)、そして単品の「香腸(中華ソーセージ)」や「揚げワンタン」など、ちょい飲み需要を満たす中華おつまみも販売されている。(生ビールは380円(税込))
筆者が注文したのは「四大金剛」から2種類選べるセット(860円(税込))。蒸しスープは更に4種類から選ぶことができる。どれも本格派の味だ
もう1つの看板メニュー、プリプリ食感の「ワンタン」。ほのかに落花生の風味。スープは薄味なので店内にある「沙県辣醤」などで好みの味に仕上げよう
これらのメニューを聞くと「台湾料理に近い」と感じる人もいるであろうが、沙県小吃が提供する中華料理は中国八大料理のうち「福建料理」にあたり、また台湾には福建省にルーツを持つ住民も少なくない。そのため日本人にとっては「台湾料理に近い味付け」といったほうが分かりやすい。しつこすぎず辛すぎず、あっさりした味付けは日本人好みだ。
なお、同店はドリンクメニューとして中国で有名な涼茶(甘くて冷たい薬膳茶)「王老吉(ワンラォジー)」を提供していることも特徴だ。日本では中華食材店などでしか売られていないこの商品、200円(税込)で気軽に挑戦してみてはどうだろうか。
沙県小吃の日本国内店舗は高田馬場と横浜の2店舗。事業者が増えれば中国のように店舗網が急拡大する可能性もあるため、近い将来には「スーパーマーケットのフードコートの定番」となる可能性もあろう。
余談ではあるが、沙県小吃高田馬場店の向かいには「中国発の日本企業」「ダイソー+ユニクロ+無印良品のパク…インスパイヤ店舗」として知られる「
名創優品(メイソウ)」が、また近隣には中国で人気の激辛春雨チェーン「
張亮麻辣湯」も進出している。いずれの店も都内に住む中国人客の姿が多く見られ、これらをハシゴすれば気軽に「中国気分」を味わうことができる。
高田馬場駅から歩いて10分弱。向かいにはあの「メイソウ」が