劣悪な労働環境で、続々と逃げ出す「外国人技能実習生」。4月から新たに介護・宿泊業も

「会社に責任はない」と嘯く受け入れ機関

 筆者は鹿島灘にある実習先の農家に行き、社長に話を聞いた。農家の社長は現場にいたわけではないとしながらも「喧嘩したのは知っている。包丁を持ちだして」とミャンマー人従業員がゾー・ゾーさんに暴行したことを認めた。  一方で、失踪した理由について農家の従業員は「パスポートを持って逃げた。だから逃げるつもりでいたんだ」と話した。社長の息子からの暴力については「そんなことをやるわけない。ゾー・ゾーが嘘をついている」と否定した。  ゾー・ゾーさんの受け入れ機関にも話を聞いた。管理団体の男性は「この件については、水戸の入管が来て十分に説明しています。本人が逃げたのは待遇が悪かったとかではなく、喧嘩して逃げたのだから、会社には全然責任はございません」と話した。

言葉の壁から助けを求めることができず、闇に葬られる外国人労働者

外国人が無期限で収容される東京入国管理局の収容所

外国人が無期限で収容される東京入国管理局の収容所

 筆者は10代の頃、長野県川上村の高原野菜農家でアルバイトをしたことがある。炎天下の中、休憩もほとんどなく朝の3時ごろから夕方まで働かされ、中腰の姿勢で行う過酷な肉体労働に身体がついていかず、仕事が遅いと怒鳴られた。 「給料を下げる」と言われ、「仕事を辞めたい」と言っても辞めさてもらえず、早朝に逃げ出して神奈川県の実家に帰ってきた。逃げた後に賃金を請求したが、払ってくれないので労働基準監督署に交渉してもらい、賃金は支払われた。  同じ職場には四川出身の中国人研修生が2人いて、最低賃金を下回る時給500円で働かされていた。彼らは日本語がまったく話せずよく怒られていたが、誰よりも一生懸命働いていた。外国人労働者は逃げ出すことも命がけで、言葉の壁から支援団体などにアクセスすることも難しい。  入管収容所では、毎日のように実習生が捕まっては帰国していく。日本政府が外国人技能実習生の受け入れを拡大する一方で、今日も暴力に怯え、救済を求めることもできず、闇に葬られていく外国人労働者がいることを忘れてはならない。 <文/鈴木堅登>
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