逮捕ですべて変わった。でも僕の人格は変わっていない
2015年、3月5日、渋谷道玄坂で僕は大麻所持で逮捕された。
ああ!しまった!と後悔しても遅かった。
仕事は失うし、収入ないし、腫れ物に触るような感覚で接せられるし。
会ったこともない顔も知らない人にSNSで罵られるし。
大麻が違法じゃ無かったら、また今は違う人生になってたかもなぁ、と今でも良く思う。
それでも、別に逮捕前も逮捕後も僕の人格には一切変わりがない。それでもそのレッテルはついて回るのだ。僕が良い人かどうかは別としても、それは瀧さんも同じで、逮捕される前もされた後も瀧さんは瀧さんだと思う。
瀧さんの人柄がすごく良かったという話を一緒に仕事をしていた芸能人の方やスタッフが口々に言い始めている。それがニュースになっているのも見た。
話は大麻に戻ってしまうが、僕の逮捕経験から活動自粛期間を経て現在、カナダ全土や、アメリカの多くの州をはじめ、ヨーロッパや、南米、アジアといった日本以外の多くの国々で医療用大麻や嗜好大麻が解禁されていく。
最近じゃお隣の韓国まで医療大麻が解禁である。
複雑な気持ちだ。僕は法律を破って逮捕されたけど、ほんとに悪いことをしたのか、反省しようにも世界が「やっぱり大麻っていいものだから解禁しようや!」という流れが実際にある訳である。
違法なものは割に合わない。
でも大麻も悪いとは思わない。
これが正直な気持ちだ。
で、今はどうかというと、酒を飲むようになった。
じつは逮捕後に酒が飲めるようになった。
もちろん飲み過ぎれば頭が痛くなったり、体調を響くこともあるけど、なにしろ酒はいくら飲んでも逮捕されないのが良い。
でも、あんまり身体には良くない気もする。
僕の嗜好品の歴史は、20代で大麻、30代前半ででたばこ(と脱法ドラッグ)、40代で酒という流れで普通の人とは違う流れである。
たまたまコカインなどのケミカルドラッグ系は僕の目の前に現れなかっただけかも知れないし、瀧さんに関しては、そういう意味でも大先輩だったのだなぁ、と思うと今回の逮捕は本当にいたたまれない気持ちでいっぱいだ。
コカインをはじめとするケミカルドラッグ系については僕も不勉強でよく分からないので、「コカインは悪くない!」とは言えないのだが、似たようなもので、用法、容量を守ればあまり問題はないのかと思う。
でも、今の日本では、ひとまず目の前にあり、合法である酒とたばこをやるしかないわけである。
なんども言うけど、違法薬物での逮捕は割に合わない。
ピエール瀧さんの事を書くつもりがほとんど自分語りになってしまい申し訳無いが、ダメ、絶対!麻薬は何が何でも絶対的に悪!という刷り込まれた考えから解放されることは、これからの世界においては結構重要な事だと思う。
2020年の東京オリンピック、海外から沢山の人たちがやってくる。
おそらく日本の法律を知らないで普通に大麻を持ち込んで日本で吸う人たちも沢山いるはずだ。そんな人達で日本の警察署の留置場に溢れかえる日が来るかもしれない。
どうなるんでしょうね? 日本の違法薬物問題。
とにかく、僕は昔からもこれからも電気グルーヴ、およびピエール瀧さんのファンであることは変わらない。
出てきたら”逮捕されることがないハードドラッグ”である「お酒」で乾杯しましょうよ!(図々しい電気グルーヴファン、高野政所より)
追伸、私事で申し訳ないのですが、ユニバーサルミュージック様、もう、4年経つのでそろそろ配信停止になっている僕のアルバムやミュージックビデオを配信再開を検討していただけませんでしょうか?
ご一考ください。
DJ JET BARON こと 高野政所より。
たかのまんどころ●1977年生まれ。DJ。テクノユニット「LEOPALDON」のリーダー。別名「DJ JET BARON」。日本における、インドネシアのダンスミュージック「ファンコット」の伝道師としても知られる。またTBSラジオの番組『ザ・トップ5』でのレギュラーパーソナリティを3期に渡って担当。2014年12月にメジャー・ファーストアルバム『ENAK DEALER』をリリース。2004年から2015年まで、クラブ「ACID PANDA CAFE」の店長を務めた。2015年3月に大麻所持で逮捕。翌年8月、逮捕時の体験をまとめた手記『前科おじさん』(スモール出版)を上梓。