オリン・ハッチなど従来の共和党人脈に加えトランプの長女イバンカの夫クシュナーを押さえているのが教団主流派の韓鶴子だ。それに対しトランプの次男エリックと親しい関係にあるのが分派のサンクチュアリ教会を率いる七男・文亨進と亨進を経済的に支援する四男・文國進である。2017年の4月と8月に行われた文亨進の説教によると、2012年、第二次安倍政権誕生前の安倍晋三と文國進が会っていたという。
放擲された息子たちと母親との間にある対立構造は、トランプ陣営のパワーバランスにおいても鬩ぎ合いを見せている。この時点では、安倍・トランプ会談を実現させた韓鶴子派が、安倍政権への貢献度では点数を稼いだことになる。
「統一教会を日本の国教に」内部資料から読み解く“国家復帰”計画
話を世界平和国会議員連合に戻す。表向きには「平和運動」とされているこの議員連合を、統一教会が世界各地で設立する目的は何か。
ここに筆者が入手した教団内部資料がある。そこには「
“国家復帰”戦略」として、2020年までに世界の7か国で統一教会をその国の宗教、つまり国教とするための途方もない計画が詳らかにされていた。
“国家復帰”のために各国で世界平和国会議員連合を創立(教団内部資料より)
資料を読み解いてみよう。
“国家復帰”とは「真の父母様の主権によって国家を動かすことのできるすべての基盤の造成」となっている。そして「人類の使命は真の父母様の民となることです。ですから国家復帰が重要です」とあるように、人類は統一教会の教祖夫妻に侍る存在とされている。
さらに「10の大陸から21の特別戦略国家候補選定」として、韓鶴子の言葉が引用され「私がこの地上にいる間にしなければなりません。2020年までに戦略国家と摂理国家のすべてが国家復帰できれば良いのですが、少なくとも7か国以上は必ず国家復帰をしなければなりません」と記述されている。
「7か国以上の国家復帰」指令を出す韓鶴子(教団内部資料より)
資料には「国家復帰の対象国として7か国を選定、戦略国家 摂理国家」とある。7か国の中には日本も入っており、政権と緊密な関係にある日本は格好の“国家復帰”の舞台ということだ。
但し、日本において特定の宗教・宗派を国教として特権を与え国民に信奉させることは日本国憲法によって禁じられており、憲法を改正しない限り特定の宗教が日本の国教になることはありえない。
そのような“事情”を考慮せず日本の“国家復帰”を命じる韓鶴子総裁。そんな教団最高権力者の指令に報いる現実的な“日本の国家復帰”への道程として考えられるのは、政権の庇護の下で組織の体制保護と勢力拡大を図りつつ、個別の国会議員に原理教育を施して取り込み、最終的には国の指導者を“真の父母”の主管の下に置くという流れだ。
入手した内部資料写真には勝共連合の大田会長が国会議員に「原理教育」講義を行うものもあった。
国会議員に「原理教育」講義を行う勝共連合会長(教団内部資料より)
「“国家復帰”戦略」の内容を見ると『伝道を通じた国家復帰』「特別戦略国家復帰」の欄に「Targetターゲット:7か国以上の国家復帰」の「Issue(3)」として「共同プロジェクト連帯実行」とある。この「共同プロジェクト」こそが教団と安倍政権による一連の策動を指し示しているのでないか。
Issue(3)「共同プロジェクト連帯実行」(教団内部資料より)
2017年2月、世界平和国会議員連合の総会で韓鶴子総裁は壇上から各国の国会議員に対してこう呼びかけた。
「それぞれ自分の国の氏族メシヤになってください。皆さんの国の国民を救って生かす、実質的な真の父母様の教えを教育する、誇らしい国家メシアになることを祝願いたします」
「○○メシア」とは教団用語で「○○を伝道する者」という意味だ。総会に出席した4人の日本の国会議員は韓鶴子から直接“国家復帰”のミッションを託され、その任務を担っていたのだ。
では、教団最高権力者から直々に“国家復帰”を託された4人の国会議員は誰だったのか。最新の調査によって4人全員の名が判明した。その中には国防に関わる政治家も含まれている。詳細は次稿で明らかにする。
“国家復帰”を各国の国会議員に指示する韓鶴子総裁(教団内部資料より)