ここで別の視点を検証する。ILC-JAPANへの自民党国会議員大量派遣の翌日に行われた「
安倍・トランプ会談」との関連だ。
2016年11月18日、NYトランプタワーで、安倍晋三と大統領選で勝利したばかりのドナルド・トランプの会談が行われた。この会談の内幕を暴く記事が『新潮45』2017年2月号に掲載された。執筆はジャーナリストの時任兼作。『安倍・トランプ会談を実現させた「カルト宗教人脈」』と題した記事の内容は、ヒラリー・クリントンの当選を確実視しトランプへのルートを持っていなかった官邸サイドが、
統一教会の人脈を使って会談に漕ぎつげたとするものだった。
「ルートがなかったはずのトランプ氏と当選直後に会談できたのは、霊感商法や合同結婚式で知られる韓国系新興宗教のおかげだった」との副題が付けられた同記事によると、安倍・トランプ会談は以下の経緯で実現したという。
・米大統領選で日本の外務省や官邸ブレーンがヒラリー・クリントンの勝利を予想し、トランプ陣営へのアプローチの準備を全くしていなかったことに安倍首相が激怒
・米共和党と親密な統一教会・勝共連合がトランプとのホットラインを持っていることを知る安倍の側近議員の進言で、安倍が勝共連合の重鎮に電話をかけトランプ陣営への取次ぎを依頼
・統一教会の韓鶴子総裁を経由してトランプの娘婿に繋がり、安倍・トランプの電話会談が行われ、NYトランプタワーでの直接会談が決まる
記事には、トランプとの外交ルートを持っていなかった外務省の幹部が、この統一教会人脈を「不愉快な非公開ルート」と評していたことも記述されている。時任の書いた内容が事実だとすると、安倍・トランプ会談のお膳立ては、全て統一教会の人脈によって取り図られたことになる。
ただし、この記事については掲載直後から内容を否定する声が上がり、永田町では「ガセネタ」説も飛び交った。国際勝共連合も「事実無根のねつ造記事である」として新潮社に抗議、謝罪記事の掲載を要求した。
同記事は、岸信介の代から安倍晋三へ連綿と受け継がれた統一教会・勝共連合との関係にも触れている。その中では、筆者がそれまでにスクープとして報じた一連の記事の内容、北村経夫への組織票依頼や教団名称変更、安倍側近の同教団詣で、トランプの次男と文鮮明の四男・七男との関係などについても言及している。
筆者は、ILC-JAPAN2016に63人もの国会議員が参加したことは
、安倍・トランプ会談実現のバーターだったのではないかと見ている。というのも近年、自民党の国会議員が統一教会系のイベントに出席することがあっても、その人数はせいぜい数名にとどまっており、これほど多くの国会議員が一度に参加したことはなかったからだ。なぜこのタイミングで開かれた世界平和国会議員連合の日本の創設式典に、現役閣僚を含む自民党国会議員が大挙して参加したのか。その答えは、安倍・トランプ会談実現の見返りや交換条件だったと捉えた方が理に適っている。
教団2世組織UNITEを使った策動も関連付けられる。いずれにしても、教団サイドと政権の癒着・緊密関係がILC-JAPANへの国会議員大量出席に繋がったことは間違いない。